表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
267/471

間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』13

  ★???★

 博も久思も武霊使いではない。

 だが、久思のそれは、星波町に来て日が浅いと言う事も起因している。

 しかし、博は違う。

 博は、小学生の頃から星波学園に通っている。

 武霊使いになる確率と要素は久思より高い。

 だからこそ、博は久思を友達にしているとも言える。

 何故なら、博は自分自身の武霊が具現化するのを切望しているのだ。

 正義の力を『安易に』手に入れる為に………。

 そんな風に切望しているのに、明確なイメージがあるのに、なかなか具現化しない。

 それは博が危険な目に遭ってない事も意味しているが、安易に力を手に入れようとしている男だ。そんな事をするはずもなく、するはずも無いくせに、危険な目に遭って武霊使いになった者に憎しみに近い妬みを抱く。

 その妬みを抱く相手・夜衣斗が、武霊使いになり、それどころか、まるで博が憧れている正義の味方の様に活躍した。

 活躍したのに、正義の為にその力を使わない。

 あの不良達を懲らしめもしない。

 そう博は思っていた。

 だから、非常にいらついている。

 もっとも、そのいらつく要因の一つに、昼休みの始まりに校内放送で統合生徒会から放送された、あの 不良達の退学処分通達もあるだろう。

 そんなんじゃ正義じゃない!

 そんなんじゃ悪は滅びない!

 だったら何の為の力だ!

 だったら何故俺に力がない!?

 何故?何故?何故っ!?

 その思いで、机や椅子にやつあたりをしてしまう。

 「………博、そろそろ昼休みも終わるよ」

 その言葉に、博ははっとした。

 感情に身を任せて、随分と暴れてしまった。

 だが、それでも壊れている机や椅子が無いのは、幸いなのか不幸なのか。

 それが博をよりイラつかせた。

 そんな時、

 「力が欲しいんだ?」

 そんな言葉が聞えた。

 その言葉は、博の感情を逆なでしたが、今回は感情を抑える。

 何故ならその声はどう考えても幼い子供の声だったからだ。

 声のした方向に視線を向ける。

 部室の窓枠に腰を掛けるショートカットの少女がいた。

 ブラブラと宙に浮く足を揺らし、肘や膝まで短くしているゴスロリな服を着ている少女は、向けられた視線に、獰猛な笑みを浮かべる。

 「やろうか?力」

 そう言いながら、少女は手の中にある『注射器』を片手お手玉していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ