間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』7
★夜衣斗★
「この様な事態になるまで気付けなかった事を、我々統合生徒会、いえ、星波学園を代表して謝らさせて下さい……申し訳ありませんでした」
そう言って俺ともう一人・いじめられていた男……名前は『楠木 久思』って言うらしい……に頭を下げる統合生徒会長・琴野沙羅さん。
「あの、その、えっと、いえ……」
全生徒のトップに頭を下げられた為か、それともそう言う質なのか物凄く動揺している楠木。
今いる場所は、高校の生徒会室。
よく分からないが、統合生徒会の部屋は、その代の統合生徒会の学年で決まるらしい。要は普通の生徒会長と兼任になり、その生徒会室も兼用となるみたいだ。
ちなみに美羽さんと飛矢折さんはいない。
統合生徒会長と顔を合わせて話が進まなくなるのを回避する為に、先に帰って貰った。やや不満を持った感じがしないでもなかったけど、まあ、こればかりは………っで、飛矢折さんは部活に戻ってる。ちょっと困った顔をしていたのからすると、朝日部長にからかわれるっとでも思ってたのかもしれない。………まあ、あの人にとっては最高のネタ……か。
「いい訳をさせて貰えるのなら、私達や武装風紀はどんなに注意していても、武霊使いへの警戒と抑制にウエイトを置いている所がありますわ。それに、構成メンバーの問題点もあります」
………なるほど、そう言えば、統合生徒会は勿論、その手足である武装風紀委員会のメンバーは、ほとんどが武霊使いだと言う。そうなれば、武霊による普通の人間への攻撃が禁止されている武霊使いは、意図的・無意識のどちらとも積極的に関わろうとしない。持ってる力は使ってしまうのが人間だ。場合によっては望む望まざるとも武霊を使ってしまう。それで場合によっては犯罪武霊使い………そんな背景がある上に、武霊使いの方が事が起こった場合に、被害や深刻度は高い。普通の生徒達が起こす問題の優先度がおのずと低くなるのは……仕方がない事かもしれない。………まあ、あの不良達は、そこを突いていた感じもするが………悪って言うのは……どうして……こう………
「ですので、無理は承知でお願いしますわ。今後、同じ様な目に遭った場合、先生方、もしくは私達に必ず相談してください」
「………はい」
会長のお願いに、楠木は力なく頷いた。
………この性格だと……それは無理だろうな………
「黒樹様も、今回の様な無茶をせず、まず、先生か私達に連絡してくださいね………あの映像は心臓に悪かったですわ」
「………すいません」
……どうも色んな人に心配を掛けてしまったみたいだな………反省。
「……まあ、でもですわ。これであの方々を退学に追い込む事が出来ますわ」
そう小さな声でつぶやくのが聞えた。
……もしかしたら、統合生徒会もある程度の目を付けていた連中だったのかもしれない………ん?退学に追い込む?……統合生徒会ってそんな事にまで口出し出来るのか………ん〜思った以上に強権を持ってるって事か………