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プロローグ26(終)

 「気分はどうですか?」

 そう言って、美羽さんは近くにあった机の椅子を引っ張り出して、俺の近くに座った。

 「これ」

 手に持っていたコンビニ袋を俺の近くに置く美羽さん。

 中にはおにぎり・菓子パン・ジュースが入ってる。

 「食べてください。昨日からずっと寝てたから、お腹空いてません?」

 ………言われてみれば、確かに妙にお腹が空いている………って、日が変わってんの!

 「武霊を限界まで具現化すると、深い眠りに陥っちゃうんです。人によっては、一ヵ月以上目が覚めなくなる人もいますから………とても心配したんですよ」

 ……そんな大事な事を今更言われてもな………

 「これからは限界まで具現化しないように、気を付けて下さいね」

 これからって……あんな事がしょっちゅう起きてたまるかってんだ!……………いや?起こるのか?

 「あ!梅と豚キムチは、私のですから」

 ……?……ああ!おにぎりの事か………お金、後で返した方がいいよな。

 「これを買ったお金、春子さんに貰ったお金ですから、遠慮しなくでいいですよ」

 ……なんだか、読まれてるな………俺ってそんなに考えが読みやすい奴なのか?………考えてみれば、ここに三年ぐらいまともに他人と向かい合ったことがないような…………春子さんって誰だ?…………ああ!叔母さんの名前だ。黒樹春子。これからお世話になるこの家の家主。その名前がすんなり出たという事は、この場にいる事からしても、知り合いなのだろう。妙な偶然だ。

 「ちなみに、私の家はこの隣です」

 すげぇ偶然。

 「部屋も丁度、向かいだったりします」

 ……ラブコメか?

 「何だかラブコメみたいですよね」

 同じ感想を抱いたらしい。そして、ちょっと考えて、からかう様に、

 「覗かないで下さいね」

 と楽しそうに言った。

 覗くか!漫画じゃあるまいし…………………煩悩滅却!煩悩滅却!

 他の事を考えないと、と言うか他の話題にしないと………って、そうだ!田村さんはどうなったんだ?

 「田村さんの事ですけど」

 俺の様子の変化に気付いたのか、俺の知りたい話題に変えてくれる美羽さん。

 「さっき自警団の人から電話があって、身体の方が完治しているそうです」

 身体の方?

 「剛鬼丸がはぐれ化しちゃいましたから………多分、一ヵ月は目を覚まさないじゃないんでしょか?」

 ……………。

 「気にしないで下さいね。油断した田村さんがいけないんですから………」

 ………一体、

 「一体、何なんだ?」

 「え?」

 「オウキとか、コウリュウとか………」

 俺の問いに、美羽さんは、「ん〜」と少し悩み、ぽつりと言った。

 「『武装守護霊』」

 武装……守護霊?

 唐突に美羽さんの背後から半透明のコウリュウが現れ、美羽さんの頬にすり寄る。

 美羽さんは、すり寄せるコウリュウを撫でながら、

 「本当に霊なのかは、わかってないですけど………こうやって背後から現れる所から、守護霊。その多くが攻撃的な能力を有しているから、武装。合わせて武装守護霊。通称、『武霊』。『星波町限定の精神寄生生命体』です」


                 武装守護霊プロローグ終了

これでプロローグは終わりです。

次からは第一章『武霊のある町』が始まります。

プロローグに引き続き、読んで頂けると幸いです。

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