間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』4
★夜衣斗★
(夜衣斗。何考えてるだわよ?)
美魅が心配そうに問い質してきたが、それに俺が応える前に、俺は、肩車しているメガネベアにステルスサーバントに捕まって離れる様に心の中で言い、メガネベアはそれに素直に従ってくれた。
それとほぼ同時に、囲み終わった男達の一人が俺に不意打ちの様に飛び蹴りをしてきた為、吹き飛び、対面にいた男に捕まり、二人掛かりで羽交い絞めにされる。
痛い。物凄く痛い。
その痛みに、オウキが怒っているのを感じるが、俺はそれを抑えた。
その間に他のの男が近付き、俺にボディーブロー。
続けざまに何発も何発も。
痛みに、怒りが沸き起こり、抑え込んでいる殺意が暴れ始める。
だが、まだ平気だ。
痛みだけなら………嫌な話だが、慣れている。
ボディーブローに何の反応も(見た目上は)示さない俺に、パンチを放っていた男は顔を歪ませ、俺の髪の毛を掴み、思いっきり引っ張って地面に顔を叩き付けやがった。
口の中に土が入り、中を切ったのか鉄の味がする。
地面に倒れる俺を躊躇なく踏み付け、蹴りを放つ取り巻き達。
……………そろそろ限
限界っと思う寸前で、不意に蹴りが止まった。
やっと来た………か!?
安堵を感じた次の瞬間に、物凄いぞわっとする気配を感じた。
反射的にその気配をした方向を見ると、息を切らせた道着姿の飛矢折さんがいて、物凄く驚いた。
その表情には怒気が含んでいたので、次の行動を瞬時に予想した俺は、ほとんど反射的に、
「セレクト!シールドサーバント!」
シールドサーバントを具現化し、一気に間合いを取り巻き達に詰めた飛矢折さんの前に液体モードのシールドを展開。
的確に取り巻きの一人の顎を撃ち抜こうとしていた掌ていをギリギリで止めた。
「何で止めるの!?」
激怒している飛矢折さんに、俺は倒れたまま笑みを浮かべ、
「………飛矢折さんにこんなくだらない事で、『退学』されちゃ困りますから」
俺の言葉に、飛矢折さんははっとして空を見た。
「あ?なんだと」
リーダーの男は俺の言葉の意味が分からず、飛矢折さんが見た同じ方向を見る。
「おい!マジかよ!?」
空を見たリーダーの男は驚き声を上げた。
そりゃそうだろう。だってそこには………。
俺も上空を見上げたが、そこには予想と違って、コウリュウに乗った美羽さんが視界に入って、再び物凄く驚いてしまった。