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間章その三裏『美魅様とメガネベア』10

 何かに持ち上げられながらどこかに運ばれるのを感じるメガネベア。

 おもちゃ屋に戻った後、自分にそっくりな人形と入れ替わって隠れていたら、気が付いたらいつの間にか寝ていて、いつの間にか紙に包まれて視界を塞がれていた。しかも、どこかに運ばれている途中みたいで、思わずした背伸びを慌てて止めざるえなかった。

 背伸びを止めた直度に自分を運ぶ何かの動きが止まったので、メガネベアはヒヤリとしたが、女の子の声に呼ばれて直に動き出したので、ほっとする。

 そして、揺られながら、どうしたものかと思案していると、女の子の会話が入ってくる。

 「いや、ほら、その人形を黒樹君の家に置いておけばさ、彼の家に行く理由が出来るじゃない?」

 「な!な!何言ってるんですか朝日部長!?」

 「ぬふふ♪分かってるんだからね?黒樹君の事が気になってるんでしょう?」

 「え!?……え、えっと………その……」

 「隠したって無駄よぉ。だってそうなる様に仕組んだのは私なんですからねぇ〜」

 「…………やぱり、そう言う意図もあったんですか」

 「あったんですよ」

 「…………」

 「うわぉ!そんな怖い目で睨まない睨まない。………巴。女の子はね。恋を知って強くなるものなのよ」

 「………彼氏なしの人にそんな事言われても説得力がありません」

 「そうかしら?」

 「そうです」

 「まあ、そう言う事にしておくわ」

 「?」

 「っで?美幸ちゃんの意見はどうなの?」

 「私ですか?そうですね………私も黒樹君の家に置いて貰う事に賛成ですね」

 「美幸ぃ〜」

 「いい機会だから、巴も少しは恋愛関係方面に興味を持った方がいいよ。それとも巴。女武術家になって一生独身を貫くつもり?」

 「え?………それは……ちょっと……」

 「なら、強引でもいいから、黒樹君との絆を強めるべきだよ?ただでさえ、黒樹君の近くには美羽ちゃんがいるんだよ?……あの子……きっと今、誰かを頼りたくて仕方がないだろうし………」

 「頼りたくて仕方がない?……どう言う事?」

 「巴だって知ってるでしょ?私の部活の大原先輩と美羽ちゃんの関係」

 「うん?」

 「美羽ちゃん。口には出していないけど、きっと大原先輩の事。好きだったんだと思うんだよね」

 「え!?じゃあ、そんな人と赤井さんは戦ったって言うの?」

 「あの時は大原先輩を止める為に仕方がなかった事だし………だから、余計に心細くなってる。そんな所に黒樹君みたいな人が現れたんたよ?………まだ、恋とまでにはなってない感じだけど、それがいつ恋に変化してもおかしくない様な見かたをしてたでしょ?」

 「……そうなの?」

 「そうなの。だから、早めに関係を深めて、告白しちゃいなよ」

 「こ!告白!?」

 「うん。ちょっとしか接してないらまだ何とも言えないけど、黒樹君って自分から告白するタイプでも、告白されたら断れないタイプっぽいものね。先手必勝よ巴!」

 「っちょ!ちょっと美幸!誰もあたしが黒樹君の事を、っす、好きだなんて言ってないでしょ!」

 「でも、ちょっとは気になるんでしょ?」

 「っう……その……………」

 「今まで巴がそんな風に思えた男はいなかったんだから、これを逃しちゃうと、本当に一生独身になっちゃうわよ?」

 「…………酷い言われようね………はぁ……もう!分かったわよ!置いて貰える様に頼めばいいんでしょ!?頼めば!」

 ちなみに言語の文化がメガネベアにないのか、会話の内容をほとんど分からなかったが、テレパシー能力を利用して会話から感じる断片的なイメージから、自分が目を前髪で隠した男の子の家に預けられる事になる事を理解した。

 もっとも、理解したからと言って、結局はしばらく人形の振りをし続ける事以外の事を、今のメガネベアは出来ない事に気付き、密かに嘆息した。

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