間章その三裏『美魅様とメガネベア』9
カランカランっと煩い鐘の音に、黄道美幸は思わずビックっとしてしまったので、美幸は反射的に腕に抱えている武霊のゆきちゃんを強く抱いた。
その直後にうゆきちゃんが暴れようとしたので、隣でその様子を見ていた飛矢折巴・朝日竜子共々ほっと息を吐く。
「おめでとうございます。二等の大当たりです」
その商店街クジ引きの係員の言葉に、三人の視線が後の景品へと注がれる。
『二等 お楽しみ実寸大メガネ動物ぬいぐるみ 何が入ってるかな〜?』
っと書かれた紙と全長一メートルぐらいありそうな巨大な紙包み。
「運がいいのか悪いのか………でも、良かったわね。確か、巴の好きな人形だったでしょ?メガネ動物って」
そう言いながら竜子が巴を見ると、くじを引いた巴は嬉しそうだけど、どこか困ったような顔をしていた。
「どうしたの?」
「……確かに、欲しかった……のですけど………」
巴のその表情に、美幸は苦笑した。
「巴の家って、あんまりかわいい物って駄目なんですよ。少しは許されるみたいですけど、あんまり大きい物とか、多くなると捨てられちゃうんです」
「……今時珍しい家ね」
美幸の説明に、同情の視線を巴に向ける竜子。
その視線に、巴はますます困った顔になった。
とりあえず二等賞品を貰い、あまりにも大きいので、美幸の武霊ゆきちゃんに持って貰いつつ、黒樹夜衣斗の家に向かう三人。
中が気になるのかちらちらと紙包みを見ている巴。
「ん〜ちょっと思ったんだけどさ。それ、黒樹君の家で預かって貰えば?」
「え?」
不意にそんな事を提案してきた竜子に、巴は驚いて思わずその視線を竜子に向けた。
丁度そのタイミングで、一瞬だけ紙包みが『背伸びした様に動き、ぴたっと止まる』。
その動きに、ゆきちゃんは立ち止まり、じーっとその視線を頭上の紙包みに向けるが、直に美幸に呼ばれたので三人の後を追い、気にしなくなった。