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間章その三裏『美魅様とメガネベア』8

 (………何なんだわよ……ここ………)

 美魅は辿り着いた場所の光景に絶句していた。

 飛び込んだ少年(名前は心に入る際にちょっとだけ読んで、黒樹夜衣斗っと分かった)の心の中は、今まで入った事があるどの人間の心の中よりはっきりしている。

 小さな夜の公園。

 それが美魅の前に広がる光景。

 普通の心の中は、不安定で常に変化している。

 安定している場所もある事にはあるが、そう言う場所は大体がどこかおかしく、外の世界からするとどこか異常性を持っている。

 なのに、夜衣斗の心の中。

 特にこの場所は、異常なほどの安定性と、外の世界と見間違えるほどの正常性を持っていた。

 興味深げに公園内を歩くと、公園の隅・街灯の下に置かれているベンチに、一人の女性と、その女性の太股に頭を載せて寝ている二人の少女がいるのに気付く。

 (………先客?……いえ……武霊?)

 困惑した視線を女性に向けていると、女性は美魅の視線に気付き、にっこりと笑った。

 「ようこそ美魅様」

 面識の内女性に名前を呼ばれ、美魅は驚いたが、その次の言葉に更に驚く事になった。

 「あなたがここに来るのを、ずっと待っていました」


 夜衣斗が目を覚ますと、異常なまでにだるく、声を上げれないほど熱く、意識がはっきりしなかった。

 (風……邪か?)

 混濁した意識の中で、それでも夜衣斗は思考を止めれなかった。

 何故なら、

 (なん…だろう……いつもの風邪とは……何か……違うような………何だろう?)

 そう感じていたが、夜衣斗は知らない。

 自分の心の中に美魅と言う化け猫が入り込んだ事を。

 美魅が入り込んだ事によりある種の拒絶反応が生じた上に、連日の武霊に関する騒動で酷使されてきた心身に、気の緩みも重なって風邪に似た症状が生じた。だから、風邪と言う認識は間違っているのだが、それらの事情に気付いていない夜衣斗は知る由も無い。

 段々意識を保つのもだるくなって来たので、夜衣斗は自然と再び眠りに落ちた。

 その間に春子が入って夜衣斗は学校を休む事になり、その事が切っ掛けである種の男の危機に見舞われる事になるが、それはまた別の話。

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