間章その三裏『美魅様とメガネベア』4
(なんなのだわこの子?)
ジリジリと身を引きながら、女の子の正体を思案する美魅。
(あの水晶球には、あたいと同質の力が込められているのは間違いないとして………でもだわよ、それを所有出来る人間は限られているはずだわね………しかも、油断していたとは言え、あたいの位置を調べ、あたいの姿を引きずり出すほどの力………これはもしかして物凄くヤバい状況だわね?)
「逃げようなどと思わないでくださいね?私の武霊は、『既に具現化中』ですので」
その言葉に、美魅は周りの気配を探ったが、武霊の気配は一切しなかった。
代わりに言いの様ない不気味な気配が、いつの間にか辺りに漂っているのを感じ、緊張の度合いが高まる。
人形の振りを止めたメガネベアは、どこか不安そうに辺りを見回し、やや緊張感欠けるのんびりとした歩きで美魅の隣に移動した。
「………随分珍妙なお客様ですね」
(お客様?)
メガネベアの動きを見ていた女の子がそうつぶやくのを聞き、美魅はある可能性を思い出した。
(外来存在!?)
美魅が驚愕の視線を自分に向けている事に、メガネベアは小首を傾げ、
(目をつぶれ?)
っと美魅にテレパシーを送って来た。
よく分からない美魅だったが、すぐさま目を閉じる。
それを確認したメガネベアは素早く顔を女の子の方に向け、両手でメガネを持った。
その行動の意味が分からず、反射的にメガネベアの顔を見てしまう女の子。
瞬間、メガネから強烈な光が発生し、女の子の視力を奪う。
女の子の視力が回復する頃には、商店街のどこにも美魅・メガネベアが居らず、女の子の手元から水晶球が無くなっていた。