間章その三『守れ!男の?????』6
★???★
(弟子入りを認めて貰うためとは言え………とんでもない物を引き受けちゃったな……いや、でも………興味ないわけじゃないし………)
などと逡巡しつつ、緑川響は小さな段ボールをこそこそと運んでいた。
黒樹夜衣斗をみんなで運んだ後、響はもたついた為、部屋から最後に出る事になった。
そもそも響は夜衣斗の見舞いに来るつもりはなく、愛に半ば騙される形でこの家にいる。
なので、状況に流されるだけ流されているのが現状で、唯一用があると言えば、夜衣斗に自分を認めて貰う事だが………それも、夜衣斗の今の状態では無理そうで………響がふと気が付くと夜衣斗が足をつかんでいた。その夜衣斗が目を開けて、響を見ており、苦しそうに何事かをつぶやいていた。
「何すっか。水が飲みたいんすっか?」
っと言いながら顔を近付けると、
「たのみ…が…ある。俺の…部屋の…中で…一番小さい…箱を……お前の…家に……今日…だけ……で…いいから…置いて……置いてくれないか?」
っと苦しそうにお願いされた。
(このタイミングで……って事は……この中には)
「エッチな本でも入ってるんじゃない?」
不意に背後からそう言われ、ビクッと響は硬直した。
まさに響もそう思ったわけだが……
恐る恐る背後を見ると、面白そうな笑みを浮かべている朝日竜子と青葉愛がいた。
「……何のことっすかね………これは、黒樹先輩から持っててくれって頼まれたいらない漫画っすよ」
っと目をそらしながら言う響に、にまぁあっと言った感じに笑みを深める2人。
「……………」「……………」「……………」
ちょっとの沈黙の後、脱兎の如く逃げ出す響。
大慌てで玄関に到着して、靴を履き、玄関から外に出ると………
「はい残念賞」
コウリュウの背に乗った黒樹春子と赤井美羽がいた。
「春子さん。あんまりこう言うのはよくないと思うんですけど」
そう言う美羽だったが、その視線は興味深そうに響の持つ段ボールに向けられている。
ポンっと肩を叩かれ、脂汗を流す響だった。