間章その二『うさぎと魔人』22
★夜衣斗★
………うわ……馬鹿だこいつ。
レベル2になり巨大化したイフリートを見て、俺は思わずそう思った。
確かにレベル2は身体が巨大になった分、その攻撃力は上がるし、防御力は上がる。
だが、その反面、その行動は巨大になった分見切り易くなっているし、攻撃も当たり易くなっている。
例えば、戦う相手が遅い相手・レベル1だったらいいが、素早い相手・レベル1に対して有効とは思えない。
今のイフリートのレベル2化は、不利になる事さえあれば、有利になる事はないと思うんだがな………あ!そっか。
俺がある事に気付いた時、
「イフリート!エクスプロージョン!」
っと再び全身爆発を緑川がイフリートに命じた。
イフリートの巨体が爆発する寸前、俺はシールドサーバントに命令して、フォーメーション・キューブゲージにし、イフリートを取り囲む。同時にシールドの強度を限界まで上げる。
爆発が起こり、爆炎の巨大なキューブが出来た。
流石に上部まではシールドの展開が完全に間に合わず、シールドサーバントの一機が吹き飛ばされ、爆炎のキューブが柱になる。
今まで以上の歓声が上がり、俺を見る緑川。
俺は緑川の視線を無視して、
「セレクト。SP冷凍弾。対戦車ライフル」
っと命令した。
その命令に、オウキの右脇の簡易格納庫から大経口ライフルが飛び出し、オウキはイフリートに向かって構える。
そして、撃つ。
炎が収まり、現れたイフリートから狙いを『外して』。
放たれた弾丸には、SP機能を加えている。
これは、シールドサーバントの力場を貫通させる力場を弾丸に生じさせる機能。
他の武装にも付けることが出来る機能だが、余計な部分が付く為、武装そのままの威力が軽減する事が多い為、オウキの基になった王継戦機でもあまり使われていないが………よくよく考えて見れば、結構使えるな………。
放たれた弾丸は、イフリートの肩をかすり、かすった部分を少しだけ凍らせた。
「……まずは一回」
俺は緑川に向ってそう人差し指を上げて見せた。
それを見た緑川の顔が引きつる。
さて次は………
っと思った時、普通の携帯電話が一回震えるのを俺は感じ、直に着信相手を確認した。
飛矢折さんからだった。
………どうやら上手く行ったみたいだ………
俺はほっと胸をなでおろし、ゆきちゃんの行く手を遮っていたシールドを『解除した』。