間章その二『うさぎと魔人』16
★飛矢折★
………美幸の家に来るのって、一週間ぶりかな?
……………随分来ていない気がするけど…………やっぱり……少し不安。
美幸のお母さんは、美幸があたしの事を嫌ってないって言ってたけど………あたしはあれだけの事をしている。それが本当に美幸の本心なのか………やっぱり……不安だった。
あたし達はまず、美幸のお母さんと家の近くで待ち合わせして、家に向かった。
「今の美幸の武霊は、ちょっとの物音でも暴れるから、音をたてないようにしてね」
っと美幸のお母さんが言ったので、あたし達はゆっくり、音を発てない様に家の中に入る。
玄関から美幸の部屋に向かう途中、廊下から台所が見えたんだけど………そこにぐちゃぐちゃに壊されたテーブルがあって、美幸のお母さんが嘆息した。
話によると、いつもどこかがちょっとした事で壊されているとか……次の日には源さんと言う変わったはぐれが直してくれるらしいけど………とても、あの美幸の武霊がした事とは思えない。だって、美幸の武霊ゆきちゃんは、とても優しい武霊だったから………
二階の美幸の部屋に辿り着いた時、外で、激しい爆音が起きる。
それと同時に、美幸の部屋からガラスが割れる音がしたので、『黒樹君の思惑通りに事が進んだ』事が分かった。
この場に『いない』黒樹君の事を心配しながら、あたしは美幸の部屋の扉をノックした。
「……美幸……あたし。巴」