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間章その二『うさぎと魔人』11

  ★美羽★

 ………なんだか妙な事になったなぁ………

 そう思いながら、私は食堂でお弁当を突っついていた。

 ……まあ、でも、黄道先輩の事は気になってた事だし………丁度いいかも。

 今この場には、私や夜衣斗さん、飛矢折巴さんの二人以外に、村雲先輩と何故か愛部長もいた。

 「………なんで愛部長がここにいるんですか?」

 「あらあら?武霊事件がある所には武霊研究部がありよ?」

 ……答えになってない。って言うか、

 「愛部長は真面目に部活する気ないでしょ?」

 「あらあら?失礼ね………でも、ピンポーン。大正解」

 ……じゃあ、何でここにいるんですか?………まったく……この人は………。

 私は怒る気も失せたので、飛矢折巴さんを見た。

 やたらとでっかいお弁当を、丁寧だけど、物凄い速さで食べて………もうそろそろ食べ終わりそうだった。

 ………夜衣斗さんもそうだけど、この人は別種の意味で規格外の人だなぁ………あんな綺麗な顔でそんなに食べないでほしいんだけど………。


  ★夜衣斗★

 俺は武霊使いになったが、それでも俺はこの町に来てまだ一ヶ月も経っていない。

 そんな俺だけで武霊関連のトラブルが解決出来る程、俺は自分自身に自信なんてなかった。

 だからこそ、美羽さん。そして、村雲にも飛矢折さんの話を聞いてもらおうと思って………飛矢折さんも、それに了承してくれた。

 ………っで、そこに何故か、そこに青葉部長が加わって来たので、ちょっと戸惑ったが………何でも、美羽さんや村雲が元所属していた部活は、武霊研究部っと言って、代々学園創立時から……つまり、武霊発生当時から、武霊の謎を追い続けている部活らしく………今回の話にはちょうど良かったので、俺は何も言わなかった。

 ………まあ、結局十年間の調べで何も分かっていないのが現状からすると……それほど心強い助っ人って感じはしなくもないが………

 食事を終え、食堂でそのまま詳しい事情を聴く事になった。

 ………それにしても、女性とは思えない食事量だったな………武術をやってるからってレベルじゃないぞ。あの量は……まあ、今はどうでもいい話だが……。

 「美幸のお母さんが言うには、今、美幸は中途半端なはぐれ化を起こしているらしいの」

 飛矢折さんの言葉に、俺と飛矢折さん以外の全員が顔を見合わせる。

 「中途半端なはぐれ化……ですか?……それって、具体的な話は聞いてます?」

 美羽さんの問い掛けに、飛矢折さんは頷いた。

 「はぐれ化って要は武霊使いの身体から離れて、その具現化を維持している意志力が無くなるまで暴れまわる事でしょ?」

 「まあ、その認識で間違いはねぇな」

 っと頷く村雲。

 「今の美幸の武霊は、美幸が起きてから眠りにつくまで、ずっと具現化してて、美幸に近付こうとするものを無差別に攻撃するらしいの」

 ………?それって、武霊の防御反応が過剰に働いているだけじゃないのか?……ん?って、普通の武霊は武霊使いの命令無しに攻撃出来ないんだっけ?

 「具現化のコントロールや、美幸の命令を全く受け付けない上に、攻撃命令も無く攻撃行動を取るって事?………あらあら?聞いた事ないわね。そんな話」

 やや真剣な面持ちで、そうつぶやく青葉部長に視線が集まり、

 「確かにそれは、はぐれ化に近いわね。差し詰め、『半はぐれ化』って事かしら?」

 っと美幸さんの身に起こっている事に対して命名した。

 半はぐれ化……ね。

 「……それにしても、ここ最近、今までなかった事が色々と起きるわね。町に来て初日で武霊使いになる人が現れたり」

 俺の事だな。

 「はぐれの発生サイクルの短縮化が起こり」

 俺が町に来て直に起こったはぐれの発生の事だな。

 「何年も捕まえる事が出来なかった犯罪武霊使いを捕まえる事が出来たり」

 高神姉妹の事か?

 「脱走不可能とされた武霊封じが破られ」

 都雅の事だよな?

 「レベル1からいきなりレベル3になる薬品の存在が確認され」

 ?……なんで知ってんだ?

 「単独で初の逆鬼ごっこ成功者が現れたり」

 ………単独で初?………マジで!?

 「そして、今度は……半はぐれ化……ね」

 不意に、俺の方へ視線を向けて微笑む青葉部長。

 ……思わずドキッとしたが、次の言葉に俺は顔を引きつらせた。

 「次はどんな事をしてくれるのかしら?」

 ………どんな事って言われてもな………

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