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間章その二『うさぎと魔人』9

  ★美羽★

 昼休み。

 私はお母さんに内緒で二人分用意して貰ったお弁当を持って夜衣斗さんの教室に向かっていた。

 もう夜衣斗さんに近付いても、誰にも文句は言われない。

 夜衣斗さん。このお弁当を見たら驚くかな?喜んでくれるかな?

 ちょっと気分がいいので軽く鼻歌を歌いつつ、夜衣斗さんの教室に近付くと、ちょうど村雲先輩と一緒に教室から出てくる夜衣斗さんを見付けた。

 ……よかった。村雲先輩と仲良くなったんだ夜衣斗さん。ちょっと安心。

 「夜」

 衣斗さん。って声を掛けようとした時、

 「待って黒樹君。ちょっと話があるんだけど」

 って言って呼び止める飛矢折巴さんが現れた。

 とっさに隣の教室に隠れる私。

 その教室の人達に妙な目で見られるけど………それどころじゃないので、無視。

 「……えっと、あの、出来れば、他の人がいない所で……」

 ………………聞き間違えかな?

 「おお!マジで!マジで!?飛矢折って黒樹見たいのが」

 「違うって!そんなんじゃないから!」

 村雲先輩の言葉を遮って、真っ赤な顔になって否定の言葉を口にする飛矢折巴さん。

 「相談したい事があるの。黒樹君に」

 ………相談?


  ★夜衣斗★

 「助けてほしいの」

 「……助けてほしい?」

 村雲に先に食堂に行って貰って、俺と飛矢折さんはそれほど人がいない屋上出入り口に来ていた。

 そこで、飛矢折さんはいきなりそんな言葉を口にしたので、俺は思わず聞き返し、飛矢折さんは頷いた。

 「……その……覚えてる?廃倉庫で、あたしが助けてくれた親友を傷付けたって言ったのを」

 ………忘れるわけがない……あんな色々あった上に、異性の涙をあんなに間近で見たのは初めての事だったし………思い出しただけで心拍数が跳ね上がる。

 俺はその事を頭の中から追いやる為に直に頷いた。

 「その親友の名前は、黄道美幸って言って……あたしの席の後ろの子なんだけど……」

 飛矢折さんが言った席を頭に思い出す。確か、俺が転校してからずっと空席のままになっている席だった。

 「美幸は、都雅からあたしを助けてくれたんだけど………その時、あたしは錯乱して、助け起こそうとしてくれた美幸に、反射的に技を掛けてしまって………その日以来、美幸は登校拒否になってて、何度も謝りに行ったんだけど、会ってくれなくて………きっともう、許してくれないと思ってたんだけど………昨日、美幸のお母さんから、電話があって……黒樹君と別れた後、会って来たんだけど………」

 ?そこで困った様に口籠る飛矢折さん。

 「正直、あたしには黒樹君以外頼れる武霊使いがいないの」

 ………なるほど、武霊がらみのトラブルが起きているわけだ……っで、飛矢折さんはほとんどの武霊使いから恐れられている………だから、俺に相談が来た訳だ。

 「お願い。一緒に美幸を助けて」

 ……本当に俺しか頼れる人がいないのか、不安そうに懇願され………たら、断るなんて選択肢はなくなるでしょうが………。

 俺は心の中で溜め息を吐いて、頷いた。

 その頷きに飛矢折さん笑顔になったので、俺は照れ臭くなり、俺は思わずそっぽを向いて頬を掻いた。

 ……………それにしても、最近出会う女性の名前に『み』が付く人が多いな……美衣さんとか、美春さんとか……美羽さんとか………まあ、これは本当にただの偶然だろうし………どうでもいい事か。

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