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間章その二『うさぎと魔人』5

  ★美羽★

 響の言葉に、私は頭を抱えた。

 やっぱり反省していない。

 多分、唖然としている夜衣斗さんを無視して、響は背中から自分の武霊を出した。

 炎で出来た人。炎の魔人。

 それが響の武霊イフリート。

 ………なんでも子供の頃にしていた大好きなゲームに登場する炎の魔人が基になっているらしいけど………具現化すると、響同様に暑苦しい武霊で、特に夏場なんて、最悪で………って、そんな事を考えている場合じゃない。止めないと。

 「ちょっと響!?」

 「いくぞイフリへ?」

 私が止める前、響がイフリートを具現化させるより前、不意に夜衣斗さんの背中からオウキが具現化して、響をがっしりと捕まえた。

 そしてそのままぽいっと………海の方へ響を投げて………響は悲鳴を上げながら海に落ちる。

 この場にいる全員が夜衣斗さんを見ると、夜衣斗さんは片手と首を横に振り、オウキを見ると霧散して消えた。

 今の、オウキが勝手にした事なの?………聞いた事がないんだけど、あんな事を武霊使いの命令無くする武霊なんて……でも、まあ、攻撃じゃない……のかな?今のは……から許可なく出来たんだろうけど………まあ、でも……いっか……響だし、死にはしないでしょ。


  ★夜衣斗★

 なんだか何事も無かったかの様に、

 「行きましょうか」

 っと美羽さんが言って歩き出したので、俺は仕方がなく後に続いた。

 ちらっと落ちた場所を見ると、まだ浮かんでこない。

 ………大丈夫なんだろうか?

 っと思って直、物凄い水柱・水蒸気・炎が学園大橋の隣で起きた。

 驚きと共に、それに警戒したオウキがまた勝手に具現化する。

 お前!勝手に具現化するなよな。しかも連続で、クラっと来たじゃないか!

 心の中で文句を言うと、オウキのすまなそうな感情が伝わって来た。

 ……まあ、いいんだけどさ……それにしても……なんなんだ。

 水煙が収まりつつある場所を見ると………巨大な炎の魔人の頭の上に乗った緑川がいた。

 「さぼはぁ」

 何かを言おうとして海水を吐き、むせる緑川。

 …………。

 「流石は今超絶話題の黒樹先輩っす。もうこれは何が何でも、しょう!?ぶぅううううっぶぅうう!???」

 勝負のっと言おうとした瞬間に、オウキがウイングブースターを使って一気に緑川に近付き、また海の方へぶん投げた。

 結構遠くに水柱が立ち、残された緑川の武霊はちょっとおろおろしながら、慌てて緑川が落ちた場所に飛んで行く。

 ………あれって、攻撃じゃないわけね。オウキの中では………結構武霊の攻撃基準って曖昧なんだろうか?それとも、武霊の個体差とか?

 そんな事を思いながら、これまた何事も無かったかの様に先を歩く美羽さんを追うと………。

 また、物凄い水柱・水蒸気・炎が現れ、

 「いきぼはぁ」

 また海水を吐いてむせる緑川が現れた。

 ………最初ので学習しろよ……ってか、海に落ちてから何やったら一言言う間もなく吐く海水を飲む?………こいつ、馬鹿な俺が言うのもなんだが、馬鹿だ。それも真正の。

 などと思っていると、いつの間にか再びオウキに投げれている緑川。

 ……オウキは緑川みたいなのが嫌いなのか?………なんだかな……

 その時は、緑川の事をやや同情的に見ていたが、直に俺はそれを撤回する事になる。

 何故なら、学園大門に付くまで十回近く、『同じパターン』を見させられ、教室に付いた頃には精神的に疲れ切らされたからだ。

 ……なんて丈夫な奴………そして、うんざり……

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