間章その二『うさぎと魔人』2
★夜衣斗★
「いっよ!ハーレム男」
っと村雲に、逆鬼ごっこが終わった翌日の朝の教室で言われた。
………………まあ、確かにある意味ではハーレムだったが………
「………殴られたいのか………」
ぼそっとそう言って、ちょうど俺の方に近付いてきた飛矢折さんを見た。
俺の声が聞えたのか、手と首を横に振って、
「そんな事しないから」
っと言う飛矢折さん。
………殴っちまえばよかったのに……
っと疲れでダークな思考が出てくる。
「……もしかして疲れてる?やっぱり、全員分のサーバントは辛かった?」
その飛矢折さんの問いに俺は首を横に振った。
具現化した直後は辛かったが、翌日に残るほどじゃなかった。
「勧誘が多かったとか?」
その村雲の問いにも俺は首を横に振った。
話によると逆鬼ごっこが終了すると密かに勧誘してくる者達もいるらしく……だが、どうも俺に味方してくれた女性護身武術部の面々が怖いのか、予想に反して今朝は勧誘などが一切無かった。
…………まあ、もっとも、勧誘をしたくても………。
「押忍!失礼します!押忍!」
不意に廊下の方からそう大声が発せられた。
………来やがった………
教室の入り口、俺の視線の先に、見るからに暑苦しそうな男がいて、こっちに向かって歩いてくる。
きっと今の俺はげんなりした感じになっているだろう。
その俺の様子に、何があったか理解したのか、飛矢折さんと村雲が納得したかの様に頷き、二人のみならず、クラス中から同情的な視線を俺に向けてくる。
………まあ、『あいつ』は、美羽さん曰く、有名人らしいからな……悪い意味で……