間章その二『うさぎと魔人』1
★飛矢折★
不安で心臓の高鳴りが痛いくらい高まる。
心細くて、誰かに頼りたくって………何故か彼の事が頭に浮かんで………あたしは苦笑した。
………何で彼なのよ………。
深く深呼吸。
駄目、これはあたしがしてしまった事の、代償。
何を言われてもいい覚悟を決めくちゃ。
そう心に決めながら、あたしは星波駅前の喫茶店で人を待っていた。
待ち人は………親友の…あたしが傷付けてしまった黄道美幸のお母さん。
今日は黒樹君の逆鬼ごっこの最終日で、ついさっきその逆鬼ごっこが終わって、何となく黒樹君と一緒に帰ろうとした時、あたしの携帯に美幸の携帯から電話が掛かって来た。
驚いて、思わず傍にいた黒樹君を見て……あたしの反応に誰から掛って来たか分かったのか、黒樹君が頷いたので……あたしは恐る恐る携帯に出ると………電話を掛けてきたのは、美幸のお母さんで…………今から会えないかって聞かれたので、あたしは困惑しながらそれを了承した。
それからあたしは黒樹君と途中まで一緒に帰って、待ち合わせ場所の喫茶店まで来て、美幸のお母さんが来るのを待っている。
喫茶店のドアが開き、人が出入りする度に、心拍数が跳ね上がって、あたしがどれだけ動揺しているか分かった。
………こんなんだったら、おかしくても黒樹君に付いて来て貰った方が良かったかな?
そんな事を思ってしまった時、美幸のお母さんが現れた。
何を言われてもいい覚悟をしていたけれど………何を言われても仕方がない事をしたけれど………
心の中でそんな事を考える弱気なあたし。
そして、美幸のお母さんは、あたしに意外な言葉を口にした。
責めるわけでも。
叱るわけでも。
罵るわけでもなく。
………考えて見れば、そんな事を言うなら、もっと前に言ってるか………そもそも美幸のお母さんって、美幸と同じ様なタイプの人だったけ……そんな事を言う訳ないのに………まだまだ駄目ねあたしは………。
美幸のお母さんは、
「巴ちゃん。うちの美幸を助けて」
っと。