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第二章『カウントする悪魔』83(終)

  ★???★

 その日の学園庭園には、日曜日たと言うのに学生達がひしめいていた。

 逆鬼ごっこ参加者は勿論、その参加者の部活メンバー。そして、逆鬼ごっこを観戦しようとしている一般生徒。

 勿論、只の逆鬼ごっこならこれだけの人数は集まらない。

 今回の鬼は、一人だと言うのに武装風紀委員会が参加するまで捕まらない上に、色々と非常識な武霊使いだと言う事と、昨日、夜衣斗が意識を失うほど武霊を具現化させたと言う情報が、もう出回っているからだった。

 いくら非常識な武霊使いだからと言っても、そこまで意志力を消費した次の日には、本調子である事はまずないだろうし、何より、今日は武装風紀委員会のトップ3が参加する。

 それら二つが重なれば、捕まえるチャンスが広がるのは間違いなく、その期待と予想がこれだけの人数を集めてしまった。もっともあれだけの事があった次の日だから、休む事を統合生徒会長が許可しそうだったのだが、それも夜衣斗本人の意思で無くなっている。

 だから、この場にいる全員が思っていた。

 今日で黒樹夜衣斗はどこかの部活・同好会、もしくは武風に入る事になる。

 っと。

 そして、ゆっくりと学園大門を潜る人影が見えた。

 それも、複数の。

 それを目撃した者達の頭に一斉に?マークが浮かんだ。

 現れたのは、黒いマントにスーツとタイツを組み合わせた様なコスプレをした女性の集団で………誰かが気付いた。

 「女性護身武術部!?」

 その言葉に、学園庭園が騒然となる。

 女性護身武術部の一人・部長の朝日竜子が、困惑した様子で自分達を見ている琴野沙羅に近付き、

 「この服ね。黒樹夜衣斗君の武霊なんだって」

 そう全員に聞える大声で言った。

 場が静まり帰った。

 それは、つまり………

 全員の思考が追い付く前に、他のメンバーと同じ格好をした飛矢折巴と、その巴の後ろを付いて歩く黒樹夜衣斗が現れた。

 「心配しないで………痛くしないから♪」

 そう言って、竜子は掌をかざし、そこから一瞬電流を発生させた。

 この場にいる参加者のほとんどが一斉に青ざめる。

 ほどなくして逆鬼ごっこ開始の鐘が鳴った。


  ★夜衣斗★

 学園大門の前で、飛矢折さんのお礼・阿鼻叫喚の一機当千図を見ながら、俺は溜め息を吐いた。

 流石に十数人分のPSサーバントを出すのは疲れたからだ。

 逆鬼ごっこは、武霊の使用が制限されていない。

 つまり、それは武霊だったら、例え逆鬼ごっこ参加者が武霊越しに攻撃をする事は可能って事になる。

 それに気付いた飛矢折さんは、その許可を朝日部長に取る為に電話をした所、朝日部長はそれを面白がって全部活メンバーを招集して………武霊を千切っては投げ、武霊使いに近付いては手から出る電撃で気絶させ……ている光景になったわけだ。

 飛矢折さんは、

 「黒樹君を守る番だって言っておきながら、守れなかったから」

 っとか言ってたけど……………まあ、正直、昨日の疲れが抜けきっていない状況で逆鬼ごっこをどうするか悩んでいたから……良かったと言えば良かったが……………ふっと思ったが、ここまでどの所にも所属しない事にこだわる必要はなかったような気がしないでも………まあ、今さらだな。

 溜め息一つ。

 ちなみに、美羽さんは飛矢折さんのお礼の内容を聞いて、即逆鬼ごっこから辞退した。

 ………まあ、それは正解でしたよ美羽さん。

 喜々として武霊使いに挑みかかる女性護衛武術部のメンバーを見ながら、俺はまた溜め息を吐いた。

 ………なんだか………女性に対してトラウマになりそう………はぁ………


                           第二章『カウントする悪魔』終了

これで第二章『カウントする悪魔』は終了です。

次の章は、間章その二で、タイトルは『うさぎと魔人』です。

引き続き見て頂けると幸いです。

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