プロローグ20
俺の決意の言葉に、赤井さんは俺が生まれて初めて見る笑顔を見せた。
一瞬、その笑顔に、俺はこれまた生まれて初めて感じる感覚に襲われた………ん?
「剛鬼丸の能力は、岩すら簡単に破壊する力・瞬時に再生する鎧・鎧の下にある強固な外骨格・周囲を消滅させる閃光・その閃光を利用した直線的な急加速と飛行です」
……なるほど………って、聞く前にどれも体感してるんだけど……まあ、それ以上が無いと分かっただけでも、有益な情報だな……オウキの銃弾を至近距離で直撃させてもびくともしなかった外骨格に、あの攻撃力と閃光……必殺の閃光は、コウリュウの鱗で地面に押さえ付けられていた時に使用しなかった所からすると、鎧を全部開かなくては使えないんだろう……いけるな………まあ、上手くいけばだが……。
「美羽でいいです」
……ん?
俺が思考にふけっていると、赤井さんが唐突にそんな事を言った。
ちょっと考えて、その言葉を理解し、物凄く戸惑う俺。
その俺に赤井さんは、またあの笑顔を浮かべた。
「命懸けの戦いになるかもしれないのに、苗字で呼んで欲しくないんです……それに、私はさっきから名前で呼んじゃってますし」
…………。
「嫌なら嫌でいいんですけど……」
なんだかしゅんとした感じになった。
…………なんだか、名前で呼ばなくちゃいけない雰囲気だ。………あ〜かなり照れ臭いんだが………。
ため息一つ。
「………美羽さん」
「はい」
嬉しそうに返事されても………。
「……今から言う通りにしてくれませんか?」