第二章『カウントする悪魔』74
★???★
ずっと見続けるのは表と裏。
ずっと傍にいるのは仮面と素顔。
ずっと自分の中にいるのは、
本能を抑え付けるようとする理性と、
理性を従わせようとする本能。
自分の、
両親の、
知人の、
友達の、
親友の、
恋人の、
先生の、
他人の、
年下の、
年上の、
世の中の全ての、
表を、
仮面を、
理性を、
それら全てを見るたびに、
裏が、
素顔が、
本能がささやく。
せまい。
せまい。
全てがせまい!
何でこんなにせまい!?
何もかも、この世の全てが、せまい!!
どこもかしこもせまい。
だから、こう思った。
ギチギチ音を立ててしまいそうなほどせまいのに、
何で、何で、平気でいられる。
ああ!せまい!
せまい。
そして、
それから逃れる為に、
本能が命じるままに理性が考えた。
どうしたらせまくなくなる?
どうしたら…………
…………………………………………………………
ああ………そうか。
考えた末に、静かに至った。
叩き壊せばいいんだ。
全てを。
理性がそれは至ってはいけない領域だと言っても、
本能がそれに歓喜し、もう至ってしまった為、
もう、理性は本能の奴隷でしかなかった。
だが、それでも本能を抑え付け様とする理性は、
ほんの少しの抵抗をする。
自身の理性の象徴である数を数え出す。
一、二、三、四、五、六、七……………。