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第二章『カウントする悪魔』70

  ★夜衣斗★

 大原亮の言葉に、俺の目は見開かれたと思う。

 美羽さんのあの表情。村雲の奪われた武霊。

 その二つが頭の中で繋がり………こいつがもう一人の他人から武霊を奪える能力者で、少なくとも美羽さんがあんな表情をするほどの何かを………いや、発言からすると、村雲以外の武霊も……奪ったんだろう。だから、美羽さんはあんな表情をして、こいつの家を見ていた。

 そして、そのターゲットが今、俺に………

 そう思った俺は、反射的に上空を見上げた。

 青い人型のドラゴンと目が合う。

 大原亮が俺から離れる気配を感じる。

 身体を動かせるほど意志力の回復はまだしていない。

 武霊を奪われた村雲が無事だったことから、死ぬ事はないんだろうが………武霊を奪われたら、きっと、いや、絶対に俺は過酷な運命を、死の運命を乗り越えられなくなる。

 間接的な絶体絶命。

 間接的な死の運命。

 連続でこれはないだろう………

 そう思うと同時に、青い人型のドラゴンが俺目掛けて急降下し始めた。

 迫る巨大なあぎとに俺は………


  ★???★

 ほぼ同時に、二つの出来事が起きた。

 一つは上空で、

 もう一つは地上で、

 その二つの出来事に大原亮は驚愕し、目を見開いた。

 黒樹夜衣斗を喰らおうと降下したブルースターは猛スピードで突撃してきたコウリュウによって弾き飛ばされ、大原亮は不意に現れた飛矢折巴の斬撃を辛うじて避ける。

 巴の第二撃を亮は、手で受け止めた。

 刃から電流が走るが、亮には通じない。

 驚く巴に、亮は刀を握り、人間とは思えない力で刀ごと巴を投げようとする。

 持ち上げられた瞬間、巴は刀から手を放し、投げられる事を防いで、着地するが、亮の人間とは思えない耐久力と力に、動きが止まってしまう。

 その巴をとくに気にする事も無く、亮は上空を見上げる。

 空ではコウリュウとブルースターが互いの身体に牙を突き立てていた。


  ★美羽★

 最後のはぐれを倒した時、私はまだ連絡のない美春さんを心配して、美春さんが向かった方向を見た。

 その瞬間、私の背中がぞわっとした。

 ブルースターがパっと現れて何かを丸飲みしたのを目撃したからで……私は考えるより先に琴野を引っ張ってコウリュウから飛び降りる。

 私の突然の行動に困惑しながら、琴野はヒノカを呼んで落下する私達を受け止めさせた。

 私達が飛び降りたコウリュウは、私が命令するより早く、人が乗ってる時には出来ない急加速で私の視界から消える。

 「一体何のつもりですの!?」

 「ブルースターがいたの!」

 怒る琴野に私はそう怒鳴り返すと、琴乃は息を飲んだ。

 ブルースターが一日に奪う事が出来る武霊の数は、二体まで。

 それは、春休みの武霊強奪事件で分かった事なんだけど………それって、美春さんか……夜衣斗さんが狙われているって事で…………だから、間に合って!

 その強い思いに応えて、コウリュウは更に加速して、ブルースターに体当たり。そのままブルースターに噛み付いた。

 「私達も行きますわよ」

 「うん」

 ………亮お兄ちゃん……

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