第二章『カウントする悪魔』63
★飛矢折★
あたしの偽物が霧散した。
あいつが見えないはずのあたしに顔を向け………背筋が寒くなる笑みを浮かべる。
「飛矢折さん!」
彼があたしの名を呼ぶ。
彼に目を向けると、前髪から僅かに見える目は、
偽物と共にコンテナに隠れる時、彼は躊躇いがちにあたしに、
「……PSサーバントの両腕には、瞬時に銃と刀のどちらかを構築できる機能が付いています」
そう言った。
………それって………。
「構築させるには、PSサーバントっと言ってからどちらかの名前を言うだけです。その際に、非殺傷モードっと付け加える事で、非殺傷モードになります」
「黒樹君……」
「口に出さなくても、同じ事を頭の中で考えるだけで、いいです」
「無理だよ……あたしには……」
あたしのその言葉に、彼は苦笑した。
「無理なんかじゃないですよ」
「でも、今のあたしは……あいつを目の前にすると……」
首を横に振る彼。
「怖くても、俺の殺人を止めてくれたじゃないですか?」
「それは……」
「飛矢折さんは、きっと、自分ではなく、他人の為に力を発揮できる人なんです」
「そんな事は……」
「ありますよ。ですから……もし、さっきの作戦が何らかの理由で失敗した場合………最後の切り札は、飛矢折さん………あなたです」
そう言って、彼は笑みを浮かべ。コンテナの扉を閉めた
諦めていなかった。