第二章『カウントする悪魔』61
★夜衣斗★
俺が見ている前で、都雅はゆっくりと、見せ付ける様に錆び付いたコンテナの扉を開ける。
そうだ。そのまま入れ!
俺はその背中を睨みつけながら、そう念じていた。
開いたコンテナの先に、壁に背を付け、両手を胸の前で組み合わせ、震えている飛矢折さんが目に入る。
……やり過ぎたオウキ……
俺の心の中の嘆息に、オウキの済まなそうな感情を感じた。
「っは!強い人間ほど、心が折れれば…ってか。無様だな。え!?無様だな」
挑発しながらコンテナの中に入る都雅。
一歩。
まだだ。
二歩。
もう少し。
三歩。
………。
四歩。
コンテナの丁度コンテナの真ん中に、
今だオウキ!
サーバントが、都雅に飛び掛かり、片手を伸ばす。
後姿の為都雅の様子は見えないが、多分驚いて後ろに飛ぶ都雅。
だが、一歩遅く、サーバントの片手が都雅の襟首を掴んだ。
その瞬間、電撃が………発生しなかった。
驚愕に俺の目が見開かれる。
都雅の肩越しに見えたサーバントが、襟首を掴んだと同時に、霧散した。
何が起きたか意味が分からず、混乱していると、都雅が右手を上げて、手を振った。
反射的にその右手を見ると………人差し指にだけ、レベル3の具現化が起きていて……俺を拘束しているクラッシュデビルの右手人差し指を見ると、そこだけ消えていた。
最悪だ。考え付くべきだった。レベル1の具現化で部分具現化が出来るのなら、『他のレベルでも出来る可能性があった事を』。そして、実際に目の前でそれをやられ………。
偽物が消えた為か、ステルス機能で消えてコンテナの隅にいる飛矢折さんに顔を向ける都雅。
くそ!くそ!くそ!!
「飛矢折さん!」