プロローグ18
「コウリュウ。防御鱗十枚!」
赤井さんの命令に、コウリュウの背中の鱗が次々とはがれ、ジグザグにこちらに向かってくる剛鬼丸に向かって一気に飛んで行き、剛鬼丸の動きを邪魔する様に動く。
鱗がはがれた場所を見ると、既に新たな鱗が生えている……。
「一度ああなると、例え宿り主が蘇生されても、元に戻る事はないんです」
宿り主?……つまり、寄生生物なわけだ。と言うか……俺の目論見は物の見事に外れたわけだ。……まあ、田村さんが助かる確率が上がっただけでも、良しとするべきだな。
「ですから、倒さなくちゃいけないんです……けど」
けど?
「……私のコウリュウと剛鬼丸って相性良くないんですよ」
……相性?……まあ、確かに、コウリュウが見た目通りのドラゴンとしての能力を使うなら、剛鬼丸と相性は良くなさそうだな。ブレスとか、剛鬼丸との戦いを思い出せば、効きそうな感じは全くしない。……ん?と言う事は……。
「……あの、聞いてます?」
俺が無言で思考にふけっていると、赤井さんはいつの間にか振り返って俺に視線を向けて、困った顔をして声を掛けてきた。
結構顔が近かったので、思わずのけぞる俺。
俺の反応に、不思議そうな顔をする赤井さん。
とりあえず、落ち着け俺。
目を瞑り、息を吐く。……少し落ち着いた。
「もしかして、女の子が苦手だったりします?」
俺の様子にそう察した様だ。……まあ、それもあるが、そもそも喋りが苦手なんだよな、俺。……本当に困った性分だよ。
とりあえず、頷く俺。
「っそ、そうですか……まあ、その、えっと……とりあえず」
対応に困った様に口籠る赤井さん。まあ、そりゃそうだ。
「今、他の人達は、はぐれの大量発生で動けません」
……と言う事は……やっぱり……。
「だから、私達だけで、あの剛鬼丸を倒さなくちゃいけないんです」
……そうなるよな………ってか、何この展開………漫画とか、アニメとかの展開だって、これ……。