第二章『カウントする悪魔』55
★美羽★
「や、やっと、発生が終わった見たいですわね」
息も切れ切れにそう言う琴野。
その視線ははぐれの発生ポイントである海に向けられていて………確かにもうはぐれは出てくる気配はない。
連携攻撃で一体倒したその後、はぐれを一定数倒す度に、新たなはぐれが発生して………夜衣斗さんを助けに行く事がなかなか出来なかった。
……もう何体倒したか分からない。
私も琴野と同じ様に、意志力の使い過ぎでもうろうっとし始めていて、かなり辛い状態なんだけど……ここで止めるわけにもいかないし、この後、夜衣斗さんを助けに行かないとけいないだ。……しっかりしろ私!。
もうろうとした意識をはっきりさせようと気合いを入れた時、
まだ余裕のある美春さんの星電が鳴った。
美春さんは素早く星電に出て………眉を顰める。
「わかった。お前達はそのまま監視を続けていてくれ………すぐに私が行く」
そう言って美春さんは星電を切り、私を見た。
「五月雨都雅を捕まえに行った武霊使いが全員意志力切れになったそうだ」
……それって……
「夜衣斗君が危ない。すまないが、後のはぐれを二人に頼めるか?」
さっきまで私達に対しては普段の言葉使いだった美春さんの口調が、仕事用の男言葉になっている。
これは、夜衣斗さんの身が本当に危険な事に……。
「私も」
行きます。そう言おうとした時、はぐれがまた発生した。
まだ出てくるの!?しかも、このタイミングで?
私は思わず唇を噛み締めた。
ここで美春さんだけでなく、私まで抜ければ、町に被害が出るのは間違いない。
「美春さん。夜衣斗さんをお願いします」
「ああ」