第二章『カウントする悪魔』50
★???★
海岸を歩く五月雨都雅。
その歩みに迷いはなく、どこかに向かって着実に歩を進めていた。
その背後では、武霊使い達とレベル2のはぐれ達との激闘が続いているのだが、都雅は一向に気にしていない。
まるではぐれが自分を襲う事がないと確信している様に見えなくもない。
不意に、都雅がその歩みを止めた。
笑みを浮かべ、その拳を地面に叩き付ける。
拳が歩道のコンクリートに当たる瞬間、その拳を包むように都雅の武霊クラッシュデビルの腕が半透明の状態で現れ、歩道を一瞬の内に大きく陥没させた。
自分で開けた大穴に落ちた都雅は、人間とは思えないジャンプ力でその大穴から飛び出し、何もない上空に拳を振るう。
その瞬間、何かが弾かれる凄まじい音が生じ、何かが地面に叩き付けられた。
何かが叩き付けらた場所に、唐突にカメレオンと鳥と人を融合させた様な武霊が現れ、霧散する。
大穴でも、モグラと忍者を融合させた様な武霊が這い出し、霧散した。
どう言うわけか、都雅は奇襲を掛けようとした二体の武霊の気配を察し、先に攻撃を仕掛けた様だった。
都雅は消えた武霊を鼻で笑い、再び歩きだそうとして、再び笑みを浮かべた。
十数体の武霊が音を立てて都雅の周りに着地したからか、それとも………
★飛矢折★
背中に悪寒が走った。
彼の話によると、スカウトサーバントには、透過機能があって、目で見る事が出来ない。実際に、あたしの眼の前で消えて見せたから、それは間違いないんだけど………二体の武霊を瞬く間に倒した都雅は………上空で都雅を見ていたスカウトサーバントに視線を向けて………笑みを浮かべた。
見えないはずのスカウトサーバントを、まるで見えているかの様に……。
「……見えているかもしれませんね」
「え!?」
不意に彼が口にした言葉に、思わずあたしは驚きの声を上げてしまった。
あまりにも頭の中で考えている事と合っている言葉だったからだけど……。
「スカウトサーバントに搭載されているステルス機能は、あくまで光化学的なステルスです。熱や音・匂いまでは隠せていない。レベル3がどんなものかは分かりませんが、武霊を身に纏っていると言う事は、『武霊が感じている事をよりダイレクトに、確実に武霊使いが感じる事が出来る様になっている』って事じゃないでしょうか?………もし、そうだとすると、ステルスサーバントの位置のみならず、隠れていたあの二体の武霊の存在も察知するのは簡単だったのかもしれません」
………彼って、この町に来てまだ一週間も経ってないよね………それなのに、長くこの町に通っている私より先にそんな予測が立てられるなんて……武霊使いだから?それとも、私が武霊使いじゃないから……それとも、
「言っておきますが、こんな予想。漫画好きとか、アニメ好きとか、ゲーム好きとか……そんな奴だったら誰でも出来ますから………」
「……そうなの?あたし、あまりそう言うの見ないから……」
「……まあ、あまり同好の知り合いがいないですから、一概にそうだと……言いきれませんが……」