第二章『カウントする悪魔』47
★飛矢折★
「まだ」
?。無口な彼が口を開いたので、ちょっと驚いて彼を見ると、
「まだ意志力に余裕があります………そのままだと身体に悪いですから………着ますか?」
……着る?………あたしがそれを?…………………まあ、確かに、彼の言う通り、このままの状態はあまり良くない。いくら寒さに強いからと言っても、限界はある。
………ちょっと恥ずかしいけど……
「お願い」
彼は頷いて、
「セレクト。PSサーバント」
っと言って、さっきと同じ小さな円盤を出して、あたしの背中に張り付く。
瞬間、あたしの全身に何かが張り廻る感じがして………あたしの制服は、彼のスーツと同じスーツになった。
制服がスーツになると同時に、それまで感じていた不快感や寒さがなくなり、身体が軽くなる。
身体をよく見ると、マントとタイツとスーツを組み合わせた様なこれには、胸・首・手首・足首に痛みなく刺さっている管があって、そこから体内に何かが入ってくる感じがした。
身体に何かが注入される度に、何だか身体が楽になる。
…………考えて見れば、これって武霊なんだよね………でも、不思議と恐怖感は感じなかった………何でだろう?
自然と彼に視線が行く。
新しく具現化をしたせいか、ちょっと辛そうに彼は俯いている。
………何となく、立ち上がって、軽く飛んで見た。
一瞬の急激な上昇感覚の後、あたしの身体は天井すれすれの高さまで飛んでいた。
あまりの高さに、未熟にも受け身が上手く取れないで床に落ちてしまい………痛くなかった。
それどころか、落ちた床が割れている。
………そう言えば、このスーツって、攻撃を受けると硬くなるんだっけ?
またしても何となく、正拳突きや回し蹴りをしてみる。
いつも以上の速度と、それに伴っての聞いた事がない音がする。
………何となく………これ……楽しくない?