第二章『カウントする悪魔』41
★美羽★
九体まで増えたレベル2のはぐれに、私とコウリュウは攻撃出来ずにいた。
今回のはぐれの最大の特徴である『分裂』。
下手に攻撃して分裂されると………一匹が分裂しただけでも大変だったのに………対応しきれなくなっちゃう。
分裂体は、一匹一匹が弱くても、海の中を自在に動けるから厄介だし………空からの攻撃は海によって威力が弱くなっちゃうし、避けられちゃう………分裂した後、一ヵ所に纏めて一気に倒す事が出来れば………
今は、はぐれに直接攻撃しない様に攻撃して、海岸に近付けさせない様にしているけど……それも限界がある。
他の空を飛べる武霊を持っている人が何人か参戦してくれてるけど………ん?
空を飛んでいる他の武霊の様子を見る途中、星波学園の上空にヒノカがいない事に気付いた。
………どこ行ったんだろう?
その疑問は直に晴れた。
後ろからヒノカが現れ、コウリュウに並行飛行始め、その背中には琴野と………何故か美春さんも乗っていた。
手振りでこっちに移る気でいるのが分かったので、コウリュウをヒノカの上に移動させて、私が乗っていない方の手を二人に近付け、二人を乗せる。
「『あれ』やりますわよ」
声が聞こえるまで近付くと、琴野がそんな事を言った。
あれ?…………。
「………もしかして、昔考えた連携攻撃?」
「そう。それですわ」
「………確かに、あれなら今回のはぐれには有効だろうけど………統合生徒会は自警団に協力しないんじゃなかったの?」
「………統合生徒会は協力しませんわ。これは、わたくし個人の協力でしてよ?」
「ふ〜ん?」
「それに、美春姉様からどうしてもって頼まれましたし」
そう琴野が言うと、それまで黙っていた美春さんが声を押し殺して笑い出した。
「美春さん?」
「あのね美羽ちゃん。じ」
「美春お姉様!」
何かを言おうとした美春さんをきっと睨んで言葉を止める琴野。
………?………まあ、いいけど………。
「さっさと倒しますわよ!」
何故か顔が赤くなっている琴野。
なんだか釈然としないけど………
「じゃあ………行きますよ。美春さん!殊更!」
「誰が殊更です!ぶっ殺しますわよ!!」
「はいはい。喧嘩しない」