第二章『カウントする悪魔』39
★飛矢折★
彼の武霊から出た円盤が不意に活動を停止して、地面に落ち、霧散した。
邪魔をするものがなくなったあいつは、そのままこちらを………攻撃しないで………余裕の笑みを浮かべて、拳を振るっていた手の甲をあたし達に向けた。
手の甲にあるカウンターは『61』っとなっており………その拳をゆっくりと振り被る。
逃げるべきだと頭では思っても、身体が動かない!
なのに骨身に染み付いた武術家の性分で、目を瞑る事も出来ず、その拳の行方を追ってしまう。
死への恐怖が、心を支配し様とした時、
「飛矢折さん!技をかけないでくださいよ!!」
彼がそう言って、不意にあたしを、
『抱き抱えた』。
その行動に、技を出すより………硬直してしまった。
……あ、あたしは、抱き抱えられるより、抱き抱える方が多いので………。
★夜衣斗★
飛矢折さんを抱き抱えた時、飛矢折さんに殴られた時の恐怖が頭に過ったが……飛矢折さんは何故か頬を赤らめ、硬直していた。
あ〜………こっちも恥ずかしいから、我慢して欲しい。
「オーバードライブモード緊急解禁!!」
そう大声で命令して、飛矢折さんを抱えて海の方へ走り出す。
「っはっは!」
都雅が笑い声を上げで、飛びかかってくるのが『後部カメラ(PSサーバントの機能の一つ)』の映像で分かり、ぞっとする。
もっとも、その拳が俺に当たる寸前でオーバードライブモード移行中のオウキの蹴りによって、その軌道が大きくずれ、当たらなかった。当たらなかったが、その拳は、学園大橋のコンクリートに当たり………一気に学園大橋が爆砕した!?
シールドサーバント六機のシールドを破ったぐらいだからとんでもない威力があるとは思っていたが………くそ!カウンターが回ると、ここまで……下手すればあの剛鬼丸の閃光以上の威力………オーバードライブモードのオウキでも……勝てるか?いや、勝ってしまうと………くそ!くそ!どうすればいいんだ!?
俺は心の中でどうする事も出来ない現状をどうやって打開するか考えながら、崩壊する学園大橋の瓦礫を足場に、空へとジャンプした。
「PSサーバント。飛行モード!」