表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
156/471

第二章『カウントする悪魔』34

  ★夜衣斗★

 己の殺意に促されるまま、都雅に近付く俺。

 何事かを言っていた都雅がその俺を見て黙り、クラッシュデビルを再び具現化させ、俺に向かって殴り掛からせる。

 クラッシュデビルの拳をシールドサーバントで防ぎ、俺の心の命令に反応したオウキが振動刀を振るうが、残った拳で防がれ、振動刀が壊された。だが、オウキは間髪入れずにクラッシュデビルの腹部に蹴りを放ち、クラッシュデビルを都雅から離す。

 倒さずに抑えてろ。

 その心の命令に、一瞬、俺を見るオウキ。

 俺はその視線を無視して、再び都雅へと歩き出す。

 立ち上がり都雅を守ろうとクラッシュデビルが動き出す前に、オウキとシールドサーバントがクラッシュデビルの動きを抑える。

 「っは、分かってんのか?そんな事やったら、お前も武霊を使えなくなるって事をよぉお!」

 そう言って俺に殴り掛かる都雅。

 都雅の拳が俺の頬に当たるが、PSサーバントから出ているナノマシンにより、俺の全身はスーツに保護されていない場所も守られており、ダメージを受ける直前で瞬時に硬化する様になっている。つまり、

 「つぅぅうぅ!?」

 都雅は俺を殴った手を押さえ飛び退く。

 俺はその飛び退いた都雅に向かって同じ様に飛び、腹部に拳を打ち込む。

 PSサーバントで強化された拳が、軽く力を込めただけだというのに、都雅の身体を九の字に折れ曲がらせる。

 吐き、咳き込む、前のめりに倒れる都雅。

 倒れた都雅を俺は脚で仰向けにし、胸にその足を置き、徐々に体重を掛ける。

 絶体絶命のその状況に………都雅は『笑っていた』。

 その笑みに俺は足に力を入れるのを止めた。

 不気味だったからとか、嫌な予感がしたとかではなく、ただ単に、こいつが『喜ぶ事をしたくなかった』だけ。

 「っは!っお、お前は、やっぱりこっち側の人間だ。壊そうぜ?壊そうぜ!壊そうぜぇ!!俺も、お前も、どいつもこいつも、この世の!全てを!」

 ………ああ、確かに、俺はこいつと同じかもしれない。

 都雅の言葉に、俺はそう思った。

 都雅の言う様に、俺は中学時代、手酷いいじめを受け………一時期不登校になり………死のうと思った事がある………だが、結局は死ぬ事への恐怖から、それは実行出来ず………そこから生じたどうしようもない負の感情は、矛先を迷走させ、自分を含めた全てに向けられようとしていた………もっとも、その直前か、直後に、僅かにいた周囲の人の助けによって、俺はいじめられる事から抜け出せる事になった………それでも、一度壊れた俺自身は治らず、今でも強く後を引いている………俺が喋らないもの、積極的に人と関わらないのも………自分を含めた人を信じられないのも………一歩間違えれば……俺は……こいつと同じ様になっていた………いや、それはないな………『この町に来る前の俺では』………そう、俺には今、『負の感情を暴力として開放する力』がある………そう、あるんだ………だから、俺は、俺はぁああぁああ!

 思考の果てに、唐突に感情が爆発した。

 不快だった。とにかく不快だった。

 目の前に、俺の『想像する最悪の未来の一つ』がある。

 それが、俺の心を掻きむしり、思い出してしまった最悪の記憶とその感情も合わさって、思考が凍り、何とか踏みとどまっていた最後の一線を………

 俺は俺が使うのに最適の大きさにした振動刀を具現化。

 具現化した振動刀を逆手に持ち、

 「死ね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ