第二章『カウントする悪魔』33
★美羽★
今回のはぐれは楽勝かもしれない。
私はそう思いながら、星波海岸での武霊使いとはぐれの戦いを見ていた。
レベル1ぐらいになったはぐれの分裂体は、一体一体の力はそんなに強くないみたいで、ほとんどがレベル1の武霊使いである下のみんなでも簡単に倒せている。
「……これだったら、もう私達は必要ないかな?っね?コウリュウ」
私の問いに、コウリュウは肯定の一鳴き。
「じゃあ、夜衣斗さんの所にぃ!???」
行こう。そう言おうとした時、大きな爆発音が聞こえて、反射的に音のした方向に視線を向けた。
さっき夜衣斗さんを見掛けた学園大橋が………『崩壊していた』!
何!何なの?私が見てない間に、何があったの!?
「コウリュウ急いで橋にぃ!!?」
向かって。って言おうとした時、今度は海の方から何かが浮上する音が聞えた。
物凄い嫌な予感と共に音のした方向を見ると、一つ目の巨大魚人のはぐれがもう一体………え!?更にもう一体………ええ!!?うそ!
私の見ている前で、一つ目の巨大魚人がどんどん浮上してきて………終には九体にまでその数を増やした。
九体が一斉に吠える。
びりびりと空気が震え、最初の一体を倒し終わった海岸の武霊使いの何人かが逃げ出すのが見えた。
これじゃあ、夜衣斗さんの所に行ってたら………誰よ!楽勝なんて言った奴!?私か!
怒りで意味のない一人突っ込みをしつつ、コウリュウに方向転換の命令を出した。
………新たに現れたはぐれに向かって……………大丈夫ですよね………夜衣斗さん。
的中した不安に、私は下唇を噛み締めるしかなかった。