第二章『カウントする悪魔』29
★夜衣斗★
サイレンが鳴り出すと同時に、海の方で巨大な何かが浮上する音が聞える。
……聞えはしたが、正直、何が浮上したかを確認している余裕はなかった。
サイレンが鳴り出すと同時に、都雅の背後から武霊を飛び出し、具現化、そしてそのまま俺に向かって襲い掛かって来たからだ。
俺を守る為に、勝手にオウキが具現化し、都雅の武霊の拳を右手で受け止める。
オウキの右手の向こうに見える都雅の武霊。
それは、狼の頭に、羊の角を持ったどこか悪魔を連想させる獣人だった。
最後の敵の情報によると、名前は『クラッシュデビル』。
『拳が触れた物質を粉砕する能力』を持って……あ!やば!
その事に気付いた瞬間、拳を受け止めたオウキの左手が弾け飛ぶ。
「セレクト。シールドサーバント!」
俺の命令に、オウキの左肩からシールドサーバントが飛び出し、シールドを展開してクラッシュデビルに突撃。
クラッシュデビルは突撃してきたシールドサーバントをシールドごと受け止め、少しだけ後ろに押される。
その時、クラッシュデビルの両手の甲に、カウンターが付いているのが見え、オウキの左手を壊した手のカウンターがカシャンと1と示す。
………最後の敵から聞いた情報には、あんなのは無かったはずだが………?………とにかく……予想通り、シールドサーバントの力場は破壊出来ないみたいだな………なら!
「セレクト。シールドサーバント五機!」