第二章『カウントする悪魔』28
★美羽★
はぐれの発生は、いくつかの方法で、ある程予測出来る
最近ちょっと崩れてきたみたいだけど、大体前回の発生から一週間以上間を開けて発生する。とか、武霊使いになって勘が異常に鋭くなった人が察知する。とか。予知能力のある武霊が予知に成功する。とか。色々。
………でも、そのどれもが不安定で、必ずしも予測が当たるってわけじゃないけど、今回は………かなり当たっている確率が高いと思う。
今、私はコウリュウの背に乗って星波海岸の上空を旋回しているんだけど………眼下に見える星波海岸には、多くの武霊使いがいるのが見えた。
これが、今回の予想が当たっている根拠の一つ。これは星波海岸だけじゃなく、星波山には結構な数の武霊使いが、はぐれを待ち構えているって美春さんは言っていた………これだけ多くの武霊使いがいるって事は、それだけ私や琴野と同じ様に不安を感じた人が多かったって事。だから……これで今日、何も起こらないって事は………ないと思う。
………まあ、でも、前回のはぐれ発生の被害がいつもより大きかった事と、高神姉弟がいなく無かった事が重なって、『外』の武霊使いの人達も結構残ってるぽいけど……。
実ははぐれを一匹でも倒すと町から謝礼金が出る。
町の財政はそれほど良くないから、そんなに高額ってわけじゃないけど、少なくとも学生やお小遣いの少ないお父さん方からすれば、かなり助かる金額は貰えるので、弱いはぐれ一匹だけ倒して、逃げるって人も結構いて………そんな人が多そうだなぁ〜っと思いながら、ふっと対岸の星波学園上空を見ると………珍しくヒノカが飛んでいるのが見えた。
いつも、っと言うより、統合生徒会長になってから、琴野ははぐれ退治をしていない。
星波学園の武霊使いを指揮する立場にいるって言うのもあるけど………基本的に星波学園側の武霊使いは星波町に向かうはぐれに対して何もしない事が多いから、星波学園生徒代表である統合生徒会長が自ら進んではぐれ退治をするわけにもいかなかったんだと思う。別に、何か明確な決まり事があるってわけじゃないけど、心証が悪くなるんじゃないかな?………琴野、また立場を危うくするような事をして…………もしかして………わた
不意にコウリュウが唸り出した。
その唸り声に、私は慌ててコウリュウが見ている海面を見ると、『巨大な何か』が海の底にいるのが見えた。
レベル2!
私は急いで星電を取り出し、自警団本部へ連絡。
その時、視界の隅に学園大橋が入り、夜衣斗さんが誰かを庇って誰かと対峙しているのが見えた。
けど、既に巨大な何かに向かってコウリュウが飛び始めていたので、直に見えない位置になって……何だが、とてつもない不安を感じたけど………うん。きっと大丈夫!だって、夜衣斗さんは強いもの。