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第二章『カウントする悪魔』27

  ★飛矢折★

 情けなかった。

 あの男を見た瞬間、あたしの脳裏に、襲われた時の記憶と………美幸に誤って暴力を振るってしまった時の記憶がごちゃ混ぜに浮かび………言葉に鳴らない声を上げ、無意識の内に後ろに下がってしまう。

 情けなかった。不甲斐無かった。

 心が乱れ、呼吸が乱れ……苦し

 不意に視界が塞がった。

 彼が、後ろにいたはずの彼が、まるであたしを庇う様に、あたしの前に移動していた。

 その背中は……震えていた。

 彼は………気付いているんだ。

 あたし達の前にいる男が、私を襲って捕まった犯罪武霊使いだって事を………。

 ………そう、あいつは捕まったはず………じゃあ……なんでここに?


  ★???★

 唐突に現れた不審な男に、対峙する黒樹夜衣斗と飛矢折巴。

 その対峙を目撃した他の下校中の生徒は、その三人の間に流れる不穏な空気に、何人かが学園に戻り、何人かが不審な男から離れて通り抜けた。

 不審な男の横を通り抜けた生徒の一人が、ほんの少しだけ視線を男に向けると、男はその視線を飛矢折に向け、何事かをつぶやいているのがわかり、ぞっとした。


  ★夜衣斗★

 周囲から他の下校中の生徒が逃げて行くが、多分都雅であろう不審な男は目もくれない。

 ずっと、飛矢折さんを見続け、何事かをつぶやいている。

 その目には明らかに狂気が宿っている………だが……高神麗華の様に心底狂った感じは……何故かしなかった。

 狂気と正気が混じった男……っと言う事なのだろうか?

 ……そもそも、連続っと名の付く犯罪を犯している事から考えると、余程運がいいのか……まともな思考が出来るかのどちらかって事になる。………どうやら、都雅は後者の様だが………そうなると、高神麗華の様に、俺の策が通じるだろうか?………いや、状況的に考えて、こうまで接近されていると………策どころの距離じゃないか…………となると、純粋な武霊同士の戦いになるのか?……………それにしても………おかしい。なんでこいつ、直に襲いかかってこないんだ?

 それなりの時間、睨み合っているのに、都雅は一切動かず、ずっとつぶやき続けている。

 ………このまま通り抜けたりして………。

 などと思った瞬間、

 『サイレンが鳴り出した』!?

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