第二章『カウントする悪魔』20
★夜衣斗★
逆鬼ごっこ四日目。
昨日の放課後は、どう言うわけか………まあ、見当は付くが………ほとんど逆鬼ごっこ参加者がいなかったので、あっさり帰れた。
そして、美羽さんは昨日も見回り、っと言うより、脱走した犯罪武霊使いの探索をしていたのか、今日も玄関前に美衣さんがいて、朝食を渡してくれた。
………何だか毎朝玄関で待って貰う、っと言うより、朝早くから朝食を作って貰うのも、かなり申し訳ないので、「明日からはコンビニで朝食を買います」って言おうとしたら、「主婦の朝は早いのよ」っと微笑んで言われたので………どうやら、美羽さん同様に俺の考えを見透かしている様で………流石親子。
などとちょっと困った事を感心しながら、飛矢折さんを迎えに星波駅に向かっている………っと、不意に携帯だ震え出した。
朝早く、しかも親と春子さんぐらいしか………つい先日多少は増えたが、俺の携帯の番号を知っている人間は少ない。
その知っている人達が、こんな時間帯に電話を掛けてくるとは思えず…………嫌な予感がした。
やや躊躇いつつ、携帯の画面を見ると………予想通り、画面には
『最後の敵』
っと出ていた。
………こんな登録した覚えはないんだけどな………何でもありか………
「不味い事になった」
携帯に出ると、挨拶も無しにそんな言葉が携帯から聞えて来た。
まずい事?………今の状況以上にまずい事なんてあるのか?
「僕の予知が利き難くなり始めている」
………それって………
「そうだ。君への手助けがより難しい状況になった」
なんだよそれ………そっちに何かあったって事か?
「僕側にはそれほど大きな事は起こってない。変化が起こっているのは主に君側の方だろう………予想だが、私と君同様に『運命を変えられた者』が君の運命に関わり始めているんだろう。でなければ、こんな事は起きない」
俺達以外に運命を変えられた者が?………あんたが知っているって事は、全員同じ人物に変えられたって事か………っで、運命を変えられた者が関わる運命は、本来の運命より多くの細かな分岐が起こり、大きな流れ以外は………弱い予知では読み切れなくなるって事だよな?………っで、そんな奴が、俺とあんたともう一人っで、計三人いるって事か………
「僕の知る限りでは、運命を変えられた者は、後『六人』いる」
六人も?………まさか、その全員が関わっている……のか?
「その可能性はない……だが、今回の場合は、その六人の内の誰かだろう」
………誰か……ね……
「もちろん。見当は付いている。だが………そいつだった場合……やはり、僕が君の手助けをしたのが、大きく影響しているんだろう………ある意味、予想通りではあるが」
予想通り?……………もしかして……あんたが見当付いているって相手は………あんたの『運命の敵』……か?
「……ああ、そうだ」
…………。
「………君に関わる前までの予知では、君の『今回の敵』は、もう少し先に事を起こすはずだったんだがな………その事を含めて、予想出来て然るべきだったのかもしれない………すまない」
………最後に敵になる奴に謝られてもな………
「っふ……そうだったな………では、僕が知り得た限りの情報を教える」
……知り得た限りね………
「五月雨都雅。それが今回の敵の………まあ、今名乗っている偽名だな」
偽名って………本名は?
「知る必要ないだろ?それに、本名は奴にとって、捨てた名前。意味はない」
………まあ、どうでもいいが……っで、その都雅って奴は……なんなんだ?
「君が星波町に来る前に捕まり、先日脱走した連続婦女暴行魔の犯罪武霊使いだ」
やっぱり………そいつか………って、どうして、こう、嫌な予感・予測はよく当たるんだろうか?………はぁ