プロローグ14
閃光は、見るまでもなく、剛鬼丸があの必殺技みたいなのを使ったんだろう。
光が収まり、頭上を見上げると……心臓が止まりそうな程に驚いた。
ほぼ目の前に、剛鬼丸の拳があったからだ。
間一髪の所で、シールドサーバントの力場が、剛鬼丸の拳を止めていた様だった。
周囲を見ると、シールドサーバントは四機に減っており、ぼろぼろで動いているのが不思議な状態になっている。
冷や汗が流れる。
「オウキ!」
剛鬼丸の腕を掴むオウキ。
残りの腕でオウキの腹部を殴る剛鬼丸。
オウキの体が、宙に浮いた。
「セレクト。貫通弾。拳銃」
剛鬼丸を掴んでいない腕から拳銃を出し、オウキは剛鬼丸の顔面に銃口で殴り付け、連射。
撃たれている間も、剛鬼丸はオウキを殴り続ける。
撃ち込まれた銃弾は剛鬼丸の鎧に食い込むが、それ以上進まない。
拳を撃ち込まれる度にオウキは上へ上へと浮くが、装甲には一切の凹みはない。
互いのダメージは無いように見えるが、剛鬼丸の拳がオウキに当たる度に、オウキの手が剛鬼丸の腕かずれる。
俺が何か次の手を指示する間もなく、剛鬼丸は唐突にオウキを全身を使って振り回し始めた。
物凄い音を立てて回転する剛鬼丸。
目で追えない速度になり、剛鬼丸が回転を止めた時には、オウキの姿がいつの間にか消えていた。
投げられた。どの方向に、どれだけ投げられたかは分からないが、少なくとも、その間に……。
剛鬼丸は、悠然と俺に向けて拳を振り上げた。