第二章『カウントする悪魔』17
★美羽★
放課後、私は逆鬼ごっこに参加しないで、すぐに星波町警察署に向かった。
コウリュウから伝わってくる感情から、都雅が見付からなかったのを感じていたから、私も何か手伝えることはないかと思って向かってるんだけど………それにしても、どこに消えたんだろう?………この町で、警察の追跡から逃げられる場所なんて………町の外に出たとか?………ありえないか………。
ほとんどの犯罪武霊使いは、自身の武霊に『執着』する。だから、犯罪武霊使いが自ら町の外に出る事はなんて、前例はない………はず。
町の外に出てないなら………どこに?………ん〜今、考えても仕方がないか。
…………でも、今日見つからないって事になると………しばらくコウリュウが使えないって事だよね?………しかも、夜の身回りもしないといけないだろうし………そうなると朝早くから出る夜衣斗さんと一緒に出ると………かなりキツイ様な………それに、今日みたいに逆鬼ごっこに参加できなし…………う〜どうしよう?
★夜衣斗★
逆鬼ごっこ三日目。
昨日と同じ時間に家を出ると、家の前で、何故か美衣さんが立っていた。
俺が固まっていると、美衣さんはにっこりと笑って、昨日美羽さんがサンドイッチなどを入れていた袋を差し出す。
「ごめんね。美羽、昨日夜遅くまで見回りしてたから、流石に起きれなかった見たい。それ、食べてね」
………そう言えば、昨日の夕飯にそんな事を言っていた様な………とりあえず、
「……ありがとうございます」
「いいのよ………っで、どうなの?」
?………意味が分からない。
「やあねぇ〜。送り迎えしている女の子の事よ」
………へ?な!なんで美衣さんが、飛矢折さんの事を知ってるんだ!?………もしかして、目撃された?
「もう。家の美羽ってものがお隣さんにいながら、転校してすぐに他の女の子に手を出すなんて………もう、そんな感じが全くしないから、おばさん油断しちゃったわ。やるわね夜衣斗君」
なにが面白いのか、親指を立てる美衣さん………ってか、手を出すって………。
「っで、どっちが本命?」
ほ、本命って言われても………。
首を横に振る俺。
「まさか!まだ女の子にも手を出すつもりなの」
な!なんでそうなるぅ〜。
あらぬ誤解に思いっきり首を横に振るしかない。
「……なんだ。面白くない」
………勘弁して下さい美衣さん。