第二章『カウントする悪魔』15
★???★
「そうか………確かにそんなに前から考えているキャラなら、強くて当たり前だな」
「本人自体は普通の子みたいだから………まだ自身武霊の扱いに慣れていない今なら、簡単に奪えると思うわ」
「………言っただろ?彼には、『削り役』になって貰うっと………何を心配しているんだ?」
「………心配……と言うより……嫌な予感がするわ」
「嫌な予感?」
「………ううん。何でもないわ……きっと気のせいだわ……だって、今のあなたに勝てる武霊使いなんて………きっといないもの」
「………」
「………どうしたの?」
「………いや……何でもない……何でも」
様々な機器から放たれる僅かな光によって薄暗く照らされる部屋。
そこに備え付けられた拘束ベットに、五月雨都雅は縛られ、寝かされていた。
手首に打たれている点滴の影響か、虚ろな目で、部屋の天井を見ている都雅。
その都雅を無機質な目で見詰める五対の瞳。
全員がそれぞれデザインが若干違う血の様な色のゴシックロリータの格好をしており、全員が小学生ぐらいの女の子だった。
足下まである長い袖の服を着たツインテールの女の子。
肘・膝まで袖を短くしてある服を着たショートカット女の子。
フリルが異様に多い服を着たロングヘアの女の子。
必要な場所以外無い簡素な服を着たメガネを掛けた三つ編みの女の子。
肩やお腹など所々に穴の開いた服を着たポニーテールの女の子。
内二人が都雅を脱獄させた二人で、残りの三人も子供とは思えない異様な雰囲気を纏っている。
「華衣お姉様?」
不意にメガネを掛けた三つ編みの女の子が、ポニーテールの女の子・華衣に声を掛けた。
「なあに呼衣?」
呼び掛けてきたメガネを掛けた三つ編みの女の子・呼衣に微笑みを向ける華衣。
「………『試薬』とは言え、こんな男に、これを使うのは危険なのでは?」
「ちょっと!何言ってんのよ呼衣!『お父様』の命令を疑うのか!?」
呼衣の質問に、ショートカットの女の子が激怒する。
「結衣………」
「芽衣は黙ってな!」
ショートカットの女の子・結衣を止めようと、名を呼んだツインテールの女の子・芽衣は、結衣に睨まれ、それで委縮してしまう。
その結衣を庇う様に、ロングヘアの女の子が動く。
「何だよ麗衣!」
「………」
無言のロングヘアの女の子・麗衣に、激怒する結衣。
「止めなさい」
優しく制止の言葉を言う華衣。
だが、その言葉・表情は優しくても、そこには、一切の優しさが込められておらず、四人が戦慄を感じて、息を飲み、動きを止めた。
「危険であろうと、疑問に思おうと、私達は『武霊チルドレン』………お父様の言葉は絶対よ。そうよね?」
その華衣の問いに四人は頷くしかなかった。