第二章『カウントする悪魔』14
★夜衣斗★
王継戦機は、俺が昔からずっと作り続けている空想の物語。
王と契約し、その王が死ぬまで騎士として仕える機械・オウキを主人公に、時代時代でオウキが仕える王との物語。
もっとも、それをちゃんとした文章や絵にしているわけじゃない。
ストーリーは言葉にせず、俺の中で作り、その設定だけを文字と絵にしている。
………だから、今では何十冊となっている王継戦機のノートは、特に今日持ってきた一番最初のノートは、俺以外には何が何だか分からなくなっていると思う。
…………まあ、基本的に他人に見せるものではないし、自己満足の物語で、一生自分の内で終わる話だと思ってたんだけど………まさか、武霊っと言う形で、外に出るとは………世の中、何がどうなるかなんてわからないもんだ。
ちなみに、何でそんなノートを持ってきたかと言うと、オウキについての設定があまりにも多いため、所々の設定があやふやな所があるので、それの確認。
「………あなたの武霊って」
何故か熱心にノートを見ていた朝日先輩が、不意に、
「騎士なのね………と言う事は、『馬もいる』のよね?」
…………とりあえず頷く俺。
「その馬、武霊として出てきた?」
………何で朝日先輩はこんな質問してくるんだろう?………まあ、答えて困る事でもないし、俺は首を『横に振った』。
実は王継戦機の中でオウキには、パートナーがいる。
『キバ』と言う名の、『機械の馬であり、騎士の馬であり、鬼の馬であるオウキと同系統のロボット』。
オウキに次ぐ王継戦機の主要キャラで、オウキには欠かせないキャラなんだが………どうやら、サーバントとは違って、オウキの一部として俺に寄生した武霊は認識しなかったみたいで、『いくら呼んでも出てこなかった』。
……つまり、オウキは、王の騎士・王騎にはなれないって事になる。
………それについては、ちょっと、いや、かなり落ち込んで……なくもない。。
それにしても………本当に、なんでこんなに熱心にノートを見ているんだろう。
俺に質問した後も、まだノートを見続けている朝日先輩に、俺は首を傾げた。