第二章『カウントする悪魔』13
★美羽★
私が学園大門の前に着くと同時に、逆鬼ごっこの終了の鐘が鳴った。
え〜………今朝は早過ぎです夜衣斗さん………。
………でも、丁度良かったかも。しばらくコウリュウが使えなくなっちゃったし………う〜んでも………そう言えば、今朝はなんで駅に行ったんだろう?……逆鬼ごっこ中は早く出るって言ってたから……明日も駅に行くのかな?……むー気になる。………っま、明日になれば分かる事だよね。
★夜衣斗★
………何と言うか、今朝は美羽さんと飛矢折さんの二人が鉢合わせしなかったけど………何となく明日も付いてきそうな気がする………っと言うか、それに何の問題があるんだ?……別に二人があっても何の問題も無い様な……いや、あるのか?……いや、やっぱりない様な……じゃあ、なんでこんなに……嫌な感じが……。
「黒樹君。それ、何?」
俺が正体不明の感覚に悩まされていると、休憩に入った朝日先輩が話し掛けてきた。
俺は今、女性護身武術部の道場で匿われている。
昨日と同様の方法で逆鬼ごっこ参加者をかく乱して、ここに来たのだが……。
朝日先輩の視線の先を見ると、俺が思考に没頭する前に見ていた古惚けたノートに注がれていた。
…………まあ、別にいいか。
俺はそのノートを朝日先輩に渡した。
「……『王継戦機』?」
ノートのタイトルを読み上げ、ちらっと俺を見る朝日先輩。
………まあ、言いたい事は分かる。…………子供の頃から書いているやつだから………無茶苦茶字が汚く、読み辛いんだと思う………まあ、今もそんなに字は上手くなってはいないが………。
「これって、もしかして、『君の武霊の基』になったもの?」
その問いに俺は頷いた。