第二章『カウントする悪魔』12
★飛矢折★
学園大門に到着し、私は大門の向こうに無数の人と武霊の気配を感じた。
思わず大門前で固まってしまうあたしに、
「……先に行きますから、少ししてから学園に入ってください」
と言って学園大門に入って行った。
ほどなくして逆鬼ごっこ開始の鐘が鳴り、無数の人の気配が、何故かそれぞれ違う方向に散っていくをのを感じる。
あたしはそれを疑問に思いながら学園大門を潜ると、何故か彼が学園大門の直前で待っていた。
気配から本物だと分かるけど………。
あたしが彼に驚いていると、
「……いきましょうか」
と言って、彼は歩き出す。
………何をしたんだろう彼。
★夜衣斗★
今朝の逆鬼ごっこ対策は、昨日とは『逆』の事をした。
要するに、俺本人はずっと姿を現したまま、複数のドッペンゲンガーサーバントとステルスサーバントを出現させて、逆鬼ごっこ開始と同時に四方に散らせた。
当然、各サーバントには俺の匂いが付いた何かしらの物を持たせている上に、ドッペルゲンガーサーバントの『再現度も上げている(昨日は映像のみだったが、今回はナノマシンにより全て再現させている……まあ、その分疲れたが……)』ので、視覚以外に特化した武霊対策も万全。
だから、昨日の俺の行動を知っている逆鬼ごっこ参加者は、姿を現している俺を偽物と思い、偽物であるサーバント達のどれかを本物と考えて、そっちを追う。っと昨日考え、実行した。
………思惑通り、学園大門の前で張っていた逆鬼ごっこ参加者達は騙され、偽者の俺を追っていき、他の場所で俺を発見した参加者も、俺を見付けても捕まえようとはせず、全く障害なく教室まで来れ、朝の逆鬼ごっこはあっさり終了。
………内心かなりどきどきだったので………うまくいってよかった。
それにしても………俺の後ろを歩く飛矢折さんを見た逆鬼ごっこ参加者の反応は…………昨日の飛矢折さんの行動を考えれば、俺以外の『被害者もいる』って事なんだろうな…………俺がどうこう考えても仕方がない……か。