第二章『カウントする悪魔』10
★美羽★
会議室に着くと、美春さんが東山さんを睨んでいて、東山さんはいつものへらへら顔を浮かべていた。
「美羽……」
「おはよぉ〜美羽ちゃん」
私が会議室に入った事に気付いた二人が、対照的な表情で私を迎えた(美春さんが厳しい表情で、東山さんが無駄に明るい表情)。
「美羽。東山との話し合いの結果、コウリュウの力だけを借りる事になった」
「コウリュウだけ?」
「ああ。コウリュウには警察犬の代わりをして貰う」
警察犬の代わり?………そう言えば、星波町警察には警察犬がいないんだっけ………確かにそれだけだったら私はいらないかもしれないけど………。
「心配しなくても、都雅はレベル1の武霊使いだ。わたしが負けるわけがないだろ?」
…………ん〜確かに私は必要ないかな………。
そう思って、私は頷いて、手乗りサイズのコウリュウを具現化させた。
コウリュウを美春さんに預けて、私は警察署から出た。
徒歩での登校になるけど、夜衣斗さんが朝早くから家を出てくれたので、時間的に余裕はある。だから、遅刻はしないだろうけど………朝の逆鬼ごっこには間に合わないかな?………昨日の夜衣斗さんの動きからしたら、学園の武霊使いに捕まるわけないと思うけど…………それって、私も捕まえられないって事な様な………どうしよう?
そう悩んでいると、都雅を探している自警団と警察の人を見かけた。
………それにしても、どうやってあの留置場から脱走したんだろう?
あそこって、武霊が具現化出来ない様になってるって聞いた事があるけど………ただの人間になった武霊使いがが脱出出来る様な場所なのかな?………ん〜普通に考えれば第三者の手引きなんだろうけど………仲間がいたって事?………そんなわけないか。単独犯だって話は目撃者・被害者からの話から確実みたいだし………じゃあ、誰が、何の目的で?……………もしかして………うんう。そんな事ない。いくらなんでも………そんな事をしない。
私は頭の中に浮かんだその人の事を、直に否定した。
………でも、じゃあ………本当に誰が?何の目的で?