第二章『カウントする悪魔』9
★???★
微妙な距離感で一緒に登校する夜衣斗と巴を、武霊の遠見能力で見ている男がいた。
男は数日前に高神姉弟から武霊を奪った大原亮。
場所は彼が隠れ家として使っている恋人のアパート。
そして、その恋人は、亮の隣で、武霊ブルースターの腹部に映し出されている二人の映像を心配そうに見ている巴の所属する部活の部長・朝日竜子だった。
「これでよかったの?」
「ああ………すまない……嫌な事を頼んで」
「いいのよ……私が、部員達に突拍子もない事を言い出すのは……」
ちょっと照れた様に、だがどこか疲弊した表情で笑みを浮かべる。
「いつもの事なんだし………でも、どうやってあの子を巻き込もうかって悩んだたんだけど………まさか向こうからやってくるなんて………あの子……とてつもなく運がないわね」
「………そうだな」
妙に含みのある返事に、竜子は一瞬不安そうな顔になったが、直に打ち消して、台所に向かった。
「朝ご飯。何食べたい?」
★美羽★
私が星波町警察署に着いた時、警察署の周囲は警官・自警団・野次馬でごったがえしていた。
とりあえず、警察署の屋上に降りようとコウリュウに指示を出した時、星電が鳴り出す。
今度は誰が掛けてきたかをちゃんと確認して………美春さんだったので、直に出る。
「美羽。何で来た?」
「え!?……東山さんに呼ばれて来たんですけど」
私がそう言うと、星電越しに美春さんが誰かを怒鳴り始め………多分、東山さんに対して怒ってるのかな?
私はちょっと迷って、警察署の屋上に降りて、多分東山さんと美春さんがいると思う会議室に向かった。
自警団によく協力している関係で、私は星波町警察署によく来ている。
だから、今では警察署内の内部構造を大体知っているんだけど………ん〜警察署内を知っている女子高生って………今更だけど……どうなんだろう?