プロローグ13
俺の命令にオウキの両肩が開き、そこから小型の円盤が六機現れる。
……なんか、一瞬……意識がクラとした様な?……今はそんな事を気にしている場合じゃないか………。
「キューブゲージ」
俺がそう言うと同時に、剛鬼丸が再び目の前に現れた。
それと同時に、シールドサーバントの一機が剛鬼丸と俺の間に入り、放たれた剛鬼丸の拳を受け止めた。その間に、残りのシールドサーバントが剛鬼丸の上下右左後ろに展開する。
六機のシールドサーバントが、剛鬼丸を取り囲むと同時に、シールドサーバント達の装甲が開き、巨大なレンズが露わになる。
その瞬間、剛鬼丸の動きが固まり、空中に固定された。
シールドサーバントは、不可視の力場を発生させるサーバント(オウキ搭載の半自立小型遠隔操作兵器の名前)で、複数使えば、今みたいに対象を拘束する事が出来る。っが、さっきのクレーターを作ったあれをやられて耐えられるかどうか……。
まあ、少なくとも、多少の時間は稼げるはずだ。その間に……。
「オウキ。倒れている男性の近くに降りてくれ」
オウキは俺の指示に従い、クレーターの中心で倒れている男性の近くに降り立ち、俺をゆっくりと地面に下ろした。
俺は男性の脈を測ろうと思ったが、止めた。どう考えても……死んでいる。嫌な、認めたくない現実だが、受け止めて、何とかするしかない。
「セレクト。ヒーラーサーバント」
オウキの両肩が再び開き、そこからシールドサーバントよりややごてごてした小型円盤が二機現れる。
その瞬間、また意識がクラ付く。
……もしかして、オウキは俺の『意志力とか』で具現化しているのか?……っで、何か新しい装備を出す度に、意志力が消費される……とか?……考えても分からない事だし、確かめる時間はないが……なんにせよ。あまり時間がかけられない事は確かだな……。
俺がごちゃごちゃと考えている間、ヒーラーサーバントは男性の上に移動し、一機が力場を発生させて男性を宙に浮かし、もう一機が男性の周囲を回って男性をスキャニングしている。出血は止まっている。ヒーラーサーバントの力場が、止血の役割をしている……からだと思う。そういう設定だったし。
男性を蘇生出来れば、剛鬼丸の暴走が止まるんじゃないかと、思ってヒーラーサーバントを出したが……本当に出来るんだろうか?どう言う原理で具現化しているか分からないが、オウキは俺の想像の産物である事は間違いない。つまり、想像上では、ヒーラーサーバントでどう治療するか(ナノマシンによる治療)は考えているが、それはちゃんとした医学に基づいていないわけで……下手したら、これのせいで余計に助からなくなるんじゃないんだろうか?
そう不安が過った時には、ヒーラーサーバントはスキャニングを終了させて、男性の傷口に貼り付いて治療を開始していた。
神様とか、仏様とか、そういうのは信じない主義だが、今だけは思わず祈りたくなる。
っが、祈り出す前に、頭上で強烈な閃光が生じた。