第二章『カウントする悪魔』6
★美羽★
「女ね」
………うちの母上は唐突に何を言い出すんだか………。
昨日の夕食の後、母さんは目をキランっと輝かせてそんな事を言った。
「男がああ言う風にもっともらしい言い訳をする時って、大体知られちゃいけない事………この場合は女ね。ねえ、お父さん?」
「………何でその会話で俺に振る」
そんな話を聞いて、私は何となくざわざわした感じになって………気が付いたらいつもより大分早く起きてしまい。
しかも、台所には、「「がんばって♪」」っと書かれた紙と、紙袋に入ったサンドイッチとコーヒーの入った水筒が置いてあった。
………別に、夜衣斗さんが誰とどう関係を気付こうと……………っと思っている内に、私は準備を整えて、春子さんの家の前に来ていて………。
ん〜。う〜ん………だって、誰かが条約違反しているかもしれないし………別に、夜衣斗さんが………その………。
って、悶々と考えていると、夜衣斗さんが春子さんの家から出て来て、私を見付けて驚いた。
そして、私は何も言わず(何も言えず)、チラチラと私を気にする夜衣斗さんに………私、この時、どんな表情をしてたんだろう?………夜衣斗さんは妙に困った雰囲気を出しつつ、何故か星波駅にやって来た。
…………これって、明らかに逆鬼ごっこ対策じゃないような…………どうしよう。物凄く気になる。聞くべき?聞かないべき?………本当に女の人………そんな、だって、まだ転校して今日で三日目だよ………実は夜衣斗さんってこう見えて………女ったらし?いや、でも、女性が苦手だった言ってたし?………そんな、ありえないでしょ。
なんて、頭の中がぐるぐるとなってた時、私の星電が鳴り出した。
私は慌てて星電に出た。
四日前のあり得ないはぐれの発生の事もあるし、またはぐれが発生したのかと思って急いで出たんだけど………。
「朝早くから悪いねぇ〜美羽ちゃん」
掛けてきた相手は、東山さんだった。
………掛けてきた相手を確認するんだった………。
「なんですか?学生の朝は忙しんですよ」
多分、物凄い仏頂面をしてたんだと思う。だって、隣で私を見ていた夜衣斗さんが困惑した雰囲気を出していたから。
ちょっと気になったけど、東山さんの次の言葉で、私はそれどころではなくなってしまって………。
「悪いね。緊急の用件でさ………ついさっき、留置場からあの男が脱走しちまったんだ」
「え!?脱走?………あの男?……って………まさか!」
「っそ。一週間とちょっと前に捕まえた『連続婦女暴行魔の犯罪武霊使い・五月雨 都雅』」