第二章『カウントする悪魔』5
★夜衣斗★
思い出すだけでも恥ずかしい。
飛矢折さんがあまりにも落ち込んでいたから、つい、喋って………笑われた。
……タイミング的に、俺の言葉に対して笑ったんじゃないんだろうけど………頭では分かっていても、心が、恥ずかしく感じている………それにしても、その時に初めて見た、飛矢折さんの笑顔。………美羽さんの笑顔とは違う魅力を感じて…………困った。何をどう困ったかは分からないけど、困った。
………それにしても……何で美羽さんが『ここにいる』んだろう?
昨日の登校時より早い早朝、俺は星波駅の改札近くにいた。
その俺の隣には、何故かやや眠そうな面持ちの美羽さんがいる。
………昨日の夜、飛矢折さんの登校時間(朝練の為に他の生徒よりかなり早い)に合わせて家を出なきゃいけなかったので、朝食を断り、先に登校する事を美羽さんに伝えた。
一応、逆鬼ごっこ対策と言ったので、美羽さんはどこかしぶしぶと言った感じで納得した(何故か美衣さんも同様にしぶしぶと………?)
っで、今朝、家を出たら何故か、玄関先に美羽さんがいて………現在に至る。
何で俺が駅に来たのか、何も聞かず、黙ってついてきて………俺が困って視線を送ると、にっこりと笑うので………何も言えず。
どうしよう……………どうしよう?別にやましい事をしているわけじゃないし………いい………のか?
何だろう………こう……妙な不安感が………そう言えば、こんなシチュエーション、漫画とかで見たことある様な…………まさか自分で実体験する事になるとは………こういう場合って………どうなるんだったけ?
などと思っていると、美羽さんから着信メロディーが流れ出し、慌てて美羽さんは『星電を取り出した』。