表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/471

第二章『カウントする悪魔』4

  ★飛矢折★

 一週間とちょっと前、あたしは犯罪武霊使いに襲われ………その圧倒的で、理不尽な力によって、暴行され掛けた。

 その時、あたしは星波町に住んでいる親友の家に遊びに行っていた帰りで、偶々彼女の家に忘れ物をしていた。それの忘れ物を届けに来てくれた彼女によって………彼女は強力な武霊使いだったので、あたしは、暴行魔から助けられた。

 でも、あたしはその時、自分自身を成り立たせている武術が暴行魔に利かなかった事や、初めて経験する圧倒的で、一方的な暴力に晒された事で……強烈な恐怖を感じてて……酷く混乱していた………そして、あたしは、助け起こそうとしてくれた彼女に、親友の黄道(おうどう) 美幸(みゆき)に、条件反射で技を掛けてしまい………気付いた時には、彼女は倒れていて………病院で検査の結果、美幸は、腕の骨とろっ骨を折っていた…………その怪我は、治療系の武霊使いの人に治してもらったけど………美幸は、次の日から学校に来なくなった。

 何度も美幸の家を訪ねて、美幸にも謝ろうとしたけど………会ってくれなかった。

 ………彼女はきっと許してくれない。

 そう思った次の日から、いえ、多分、美幸に技を掛けてしまった時から、あたしは心の制御が難しくなって……武霊を具現化中の武霊使いに不意にあったりすると、その武霊使いに反射的に技を掛けてしまう様になっていた。

 どんなに意識しても、気が付くと技を出していて………。

 「きっと」

 不意に、それまで黙っていた彼が、口を開いた。

 斜め上の星空を見ながら、

 「時間が解決してくれます」

 斜め上に向いていたのは、きっと恥ずかしかったんだと思う。

 「……そう………かな?」

 思わず彼の顔をずっと見てしまうと、彼もあたしを見て、あたしが自分を見ている事に彼は驚いて………頷いた。

 問い掛けの答え?

 ………彼の言葉は、明らかに気休めだったけど…………どうしてか、心が少し、ほんの少しだけど、安らいだ気がした。

 きっと、それは、彼が強力な武霊使いだって言うのに、あまりにも情けなくて、あまりにも弱そうで、あまりにも………優しいから………。

 彼は、私が抱いている普通の武霊使いのイメージとあまりにもかけ離れていて………いつもおどおどしている美幸と、何だか似ていた。

 だからか、込み上げてくるものを抑えられず、あたしは笑ってしまった。

 いきなり笑いだす私に、彼はきっと怪訝そうな顔をして、むっとしていたと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ