第二章『カウントする悪魔』1
★???★
せまい。
せまい。
全てがせまい!
何でこんなにせまい!?
何もかも、この世の全てが、せまい!!
どこもかしこもせまい。
ギチギチ音を立ててしまいそうなほどせまいのに、
何で、何で、平気でいられる。
ああ!せまい!
せまい。
………どうしたらせまくなくなる?
どうしたら
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ああ……………そうか。
叩き壊せばいいんだ。
『全て』
★夜衣斗★
歌が聞こえる。
聞いた事がない言葉によって紡がれる歌。
その歌を歌う声に、聞き覚えがあった。
………誰だったけ?
閉じていた瞳を、ゆっくりと開けると、どこかで見た事があの公園の光景が見えた。
そして、その公園の中央に、空中に浮いている光り輝く球体と、その球体に向かって歌を歌っている………ああ、サヤだったのか……って事は、ここは夢の中……いや、俺の心の中か………ん?………サヤの対面に、同じ様に歌っている『見た事のない小学生ぐらいのショートカットの少女』がいた。
どこかサヤに似たその少女は、俺の視線に気付いて、歌いながら俺ににっこりと笑い掛けてくる。
その少女の様子で気付いたのか、サヤも俺に視線を向け、歌いながら、こっちは「もう困った子」っと言った感じの表情になった。
気が付くと、俺は自分の部屋のベットで寝ており、携帯の目覚まし機能が鳴っていた。
………え〜っと?…………今の何だったんだろうか?
オウキを俺に渡して以降、こっちが呼び掛けても、一切反応が無かったサヤ。………っと謎の光球とショートカットの少女。
………意味が分かんなかった……………俺の中の住人が増えて、その中で謎の行動をされている?………どうなっちゃったんだろう、いや、どうなるんだろう俺。
一抹の不安が俺の中を過るが………今はその不安より、どちらかと言うと、眠さの方が勝ってて………学校の準備をしている内に、どうしようもない事である事も重なり………どうでもよくなってしまった。
それにしても………何と言うか、あらゆる面で今までの俺とは百八十度………っと言うより、どっかにぶっ飛んでる感じで変わっている。
武霊に関する事だけでなく日常的にも………『昨日の放課後』なんて特にそうだった。