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間章その一『星波学園の人々』48

  ★美羽★

 コウリュウの鼻が示した夜衣斗さんの居場所は、ぼろぼろの道場だった。

 ………ここって、確か逆鬼ごっこに参加していない女性護身武術部が使っている道場だったような………と言う事は………あの飛矢折先輩がいる所?…………もしかして、夜衣斗さん、飛矢折さんに気絶させられたんじゃ………。

 そう思った時、私の中に確かな怒りを感じ、気が付いたら私は道場の引き戸をドンドンと強く叩いていた。

 「すいませ〜ん!ちょっといいでしょうか!?」

 声も何だか怒鳴った感じになってしまって………そうだ。コウリュウを具現化したままだった。

 そう気付いた私が慌ててコウリュウの具現化を止めると同時に、道場の引き戸が開いて、思わずドキッとしてしまう。

 出てきたのは………確か、女性護身武術部部長の朝日先輩だった。

 前に愛部長の代わりに部長会合に出た時に、ちょっとだけ喋った事があるんだけど………。

 「あら?赤井さんだっけ?こんな所に、どうしたの?」

 何の縁の無い私が急に訪ねて来たので、不思議そうな顔をしている朝日先輩。

 「えっと、今、逆鬼ごっこをしていまして」

 「うん。そう見たいね。でも、私達は参加してないわよ」

 「はい。それは知っています………えっとですね。鬼である黒樹夜衣斗さんの匂いを、私の武霊で追ってきたんですけど………」

 「匂い………う〜ん。もしかして、これの事?」

 そう言って道場の中にちょっと入って、私に制服の上着を差し出した。

 ………えっと、もしかして、この上着の匂いを追ってきちゃったの私達。

 背後の不具現化のコウリュウに視線を向けると申し訳なさそうに頭を垂れていた。

 ……っうう。またやられた………。

 「これ、うちの道場の近くに落ちてたんだって」

 「……そうなんですか………お騒がせしてすいません」

 「別にいいのよ」

 「………えっと、夜衣斗さんとはお隣同士なので、上着、私から返しおきます」

 「そう?………じゃあ、お願いね」

 「はい。失礼しました」

 私は夜衣斗さんの上着を受け取って、朝日先輩に一礼してから道場から離れた。

 早く夜衣斗さんを見つけないと………

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