間章その一『星波学園の人々』47
「んな事より、もう用はねぇな?帰るぞ?」
「ええ。わざわざ来て貰って申し訳ありませんでした」
「はん!全くだよ」
そう言って、池上先生は道場を去って行った。
…………なんだかな。
池上先生を見送った後から来た道着服の女の子が俺に近付き、
「初めまして黒樹夜衣斗君。私は女性護身武術部の部長、高等部三年の朝日竜子よ。よろしくね」
と挨拶してきたので、俺は立ち上がって頭を軽く下げた。
「ごめんね。うちの巴があなたをいきなり倒しちゃって。でも、ノックもせずに不意に入ってくる君もいけないんだよ?そこは反省してね?」
そう微笑んで朝日先輩に言われ、反射的に頷いてしまう俺。
………あ〜なるほど、ここって、いかにも使われてなさそうだと思ったあのぼろい道場の中か………内装は綺麗だな………まあ、使われているなら当たり前か………ってか、内装だけじゃなく、外装も何とかしてほしいものだな。紛らわしい。
と思っていると、不意に叩く様に扉を叩くの音が聞えた。そして、
「すいませ〜ん!ちょっといいでしょうか!?」
となんだか怒鳴るような美羽さんの声が聞えた。
っげ!そう言えば、今、逆鬼ごっこ中だった!ヤバい!ここってあそこの出入り口以外に出入り口は………って、あれ?今気付いたんだが、もしかして、俺って既にここの部に捕まってる?
急に慌ててきょろきょろと道場内を見回し、固まる俺に、朝日先輩が面白そうに俺に手を差し出した。
「服脱いで」
へ?