間章その一『星波学園の人々』40
★飛矢折★
お……落ち着きなさいあたし。
彼の事は何とも思ってないんでしょ?
……何とも思ってない?……それは違うかな?……少なくとも、気には掛けている……。
そう思って……気付いたら、あたしは自分の席に座ってた。
無意識の内に自分の席に着いていたみたいだけど……えっと……
周囲に意識を向けると、あたしの様子が明らかにおかしかったのか、クラスのほとんどがあたしを見ている気配がした。
こ、ここは平常心、少なくとも感情を表に出さない様に……
そんな意味の分からない努力を反射的にしながら、あたしはさっきまでいた窓際を見ると、いつの間にか教室に来ていた村雲君がカーテンを開けていた。
「……なにやってんだ黒樹?っつうか、変な格好……なんかのコスプレか?」
と窓を開けて言ったので、クラスの注目が一斉に村雲君に向けられた。
彼は無言で村雲君が開けた窓から教室に入り、教室を騒然とさせる。
一瞬、彼は自分に向けられている視線に気圧された様な感じになったけど、直に何かをつぶやき、瞬く間にコスプレ姿から制服姿になって、背後から小さな円盤が飛び出し、すぐに消えた。
……これが彼の武霊?……一体何の意味が……そっか、あの服装が彼の身体能力を強化して、どう見てもひ弱な身体付きでここまで壁を登ってこれたんだ………あれ?でも、彼の武霊って……『装備型』だったかな?
そう疑問に思った時、逆鬼ごっこの終了の鐘の音が鳴った。